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「磔磔再見」TMGE フィルム・コンサート 2013-9-25 [音楽]

TMGE。ミッシェル・ガン・エレファント。

耳触りの良いミリオンセラーのポップスやロックが大勢を占めていた当時の音楽産業に忽然と出現し、エッジの鋭いロックンロール/ガレージサウンドを武器に、1990年代から2000年代前半にかけて吹き荒れた、黒い竜巻のようなモンスター・バンド。言わずと知れた。
彼らの存在は、ブラックホールがその巨大な重力で周囲の時空を曲げてしまうように、その後の日本のロックの方向性を大きく変えたように思う。

1998年の第二回フジロックと、1999年の第一回ライジングサン・ロックフェスティバル。
この二つの "伝説の" ライブを現場でリアルタイムで見る事ができたのは、つくづく幸運なことだったと思う。(← こう書くと、自慢話してるみたいでヤラしいですね。たまたまそのライブを観ただけなのに。)

ミッシェル・ガン・エレファントというバンドを初めて知ったのは、実は1998年のフジロックでの伝説ライブのとき。
勿論、その時点で既に彼らはロックファンの爆発的な人気を獲得していて、私は、炎天下の中で始まった黒スーツ姿の彼らのライブを、モッシュピットの1ブロック後方で眺めていた。オーディエンスの熱狂が、前方から立ち篭める湯気と熱気が、もう、ただ事ではなかった。そして、モッシュピットの状況を危険視した主催者が演奏を一旦中断させて、会場全体がまさしく騒然とした空気になったのを、ひたすら圧倒されながら眺めていた。
しかしまあその時は、後でそのライブが伝説と化すとは、思いもしなかったものだ。何か凄いモンを目撃した!とえらく興奮したけど。まあ、傍観者だった。
そういうのは、後日、ロック雑誌の記事を読んで、増幅されたもの。

その1年後、第1回ライジングサン。もの凄い超豪華メンツが並んだラインアップで、わざわざ北海道まで観に行ったモトは十二分に取ることが出来た。
で、ミッシェルは、ブランキー・ジェット・シティと並ぶダブル・ヘッド・ライナー的な扱いで、夜9時台のピークタイムに出演。
「Gear Blues」で彼らのファンになったばかりで、ただひたすらカッコ良くて、1曲1曲に血が沸騰するような興奮を覚えつつ、巨大スクリーンに映る彼らのステージを見てました。

欧米でThe StrokesとThe White Stripesが世に出て、今に至るまでのロックンロール・リバイバルが始まる5年以上前に、日本にはTMGEがいた。
これは実は凄い事だったと、常々思うわけです。

TMGEと並べて語るべきなのは、おそらく、ブランキー(BJC)とハイスタ。
ハイスタは、TMGEとBJCとは別の立ち位置に立っていたと思うけど。
そして重要なのは、この3バンドがライブハウス現場主義を貫きながら、押しも押されもせぬほどの爆発的人気を1990年代後半に獲得するに至った事実。大手メディアのタイアップとか、売れセンのプロデューサーとか、そういうのに頼ることなく。

TMGEの存在がオーバーグラウンドに一気に浮上するきっかけとなった1998年フジロックでの彼らのライブは、現在に至る日本のロックフェス・ブームの起爆点の一つである。
つまり、日本のロック・ミュージックの歴史を大きく変えたバンドだった。

そして、TMGEが他のバンドと比べて際立って特異なのは、それほど多大な影響を残しながらも、その強烈すぎる個性ゆえに、解散して10年経過した今でも目立ったフォロワーが登場していない(というかどのバンドも彼らのフォロワーにはなれない)、ということであります。

前置き、長過ぎ。

2003年に解散した彼らのラストツアー、Last Heaven Tour。そのツアー初日が、2003年9月25日の京都磔磔。そのちょうど10年後の2013年9月25日、その10年前のライブ映像がノーカットでDVDとして発売された。
同時にDVD発売を記念して、同じ日に、同じ磔磔にて、同DVDの爆音上映ライブが開催されて、運良くチケットをゲットできたワタシは観に行って来たのでした。

開演は6時半からで、ギリギリ到着する。ステージ上には大きなスクリーンが設置されている。既にDVDは再生されているようで、開演を待つ、10年前の観客達のガヤガヤした様子が、スクリーンに映し出されていた。
予定開演時刻を多少回った所で、スクリーンの中の10年前の磔磔の場内が暗転(同時に今の磔磔の客電も落ちて暗転)、懐かしい黒スーツ姿のTMGEの4人がスクリーンに姿を見せた。
その瞬間、磔磔の内部が4人に向けての歓声で一杯になる。この歓声は、10年前のDVD映像のものもあれば、今ここでリアルタイムにファンから発せられたものもあった。
アベさんの姿が映るや否や、すかさず「アベ〜!!」の絶叫が。これは、現在から過去に向けて、もう会えなくなった人に向けられた再会の叫び。

一曲目、初期曲「トカゲ」が小気味良くてカッコいい。この曲を、ラストツアーの初日の1曲目で演奏したのは、意図的かどうか判らないけど、やっぱりそこには象徴が潜んでいると思う。
続く「バードメン」、2曲目にして、この日磔磔に集ったミッシェル・ファンの盛り上がりがいきなりピークに。その次の「暴かれた世界」は俺的に好きな曲で嬉しい。

それ以降も、とぐろを巻くようなスロウ・グルーヴに歌詞が切なくなる「太陽をつかんでしまった」、キャッチーな「キャンディ・ハウス」(この曲のサビでガッツポーズになるのは、もはや反射神経のなせるワザ)、問答無用な「G.W.D.」「ベイビー・スターダスト」とか。
中盤、割と早いタイミングで、「世界の終わり」が演奏されて、ちょっと意外に思ったりもした。

ラストシングルになったスローナンバー「Electric Circus」を挟んで、「ゲット・アップ・ルーシー」「プラズマ・ダイブ」と代表曲でもある沸騰ナンバーをぶちかます。「ゲット・アップ・ルーシー」の歌詞は意味がよく分からない所が最高だと常々思っている。
その後の後半戦でも、思わず懐かしくなってしまう「GT400」、解散直前の爆音ナンバー「デッドマンズ・ギャラクシー・デイズ」、そして、レゲエ・アレンジから爆音ギターロックにシフトチェンジする瞬間が最高な「リボルバー・ジャンキーズ」では、終わりが近いことを悟る。
本編の最後の曲は「ダニー・ゴー」。

ワタシ的に、一番最高だったのは、アンコールで、『Last Heaven's Bootleg』に収録された、スペシャルアレンジの「Hi! China!」が聴けたこと!!
そっかー、このテイクは磔磔での演奏だったんですね。曲が始まる前の、チバの「ブルース!」の叫びとハーモニカ、スロー・スタートからの徐々にスピードアップしていく展開が、もう本当にカッコ良過ぎでたまりません。

しかもその次の曲は、再び、スローからラウドにシフトチェンジするロックナンバー「深く潜れ」。
アンコールでこの2連発って、かなりのサプライズ・セットリストだったんだなあ。
これは強烈にかっこいいなあ。

最後は「リリィ」で再び大きく盛り上がって、この日のフィルム・コンサートは終わったのでした。

と思いきや。
DVD上映が終了し、客電が点いた状態で、爆音で「Satanic Boom Boom Head」をかけてくれるという粋な計らいが! 
これは、幕張メッセでのラストライブと同じ状況を再現してくれたワケですね。名残惜しいオーディエンス達がこの日もこの曲で跳ねまくる。さすがに、ダイブとかする人はいなかったけど。オレもこの曲は本当に大好きなんですワ。
でも、この日はそれで終わりじゃなくて、サタニックが終わるや否や、畳み掛ける様に「CISCO(she's gone)」が!!!
ジェットコースター・ナンバーの2連発。これには狂喜乱舞。CISCOは、問答無用で一番好きな曲です。最高です。

家に帰って、昔のミッシェルのライブ映像のCISCOを観よう。

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