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第三夫人と髪飾り [映画]

ベトナム映画と言えば、「青いパパイヤの香り」くらいしか思い浮かばない。日本に紹介されているベトナム映画ってそれくらい? 偶然か、それと何か似た雰囲気の本作。本作はスパイク・リーに師事していたというNY在住のベトナム人女性が監督。本作がデビュー作とのこと。世界各国の映画祭で多数の賞を取っているという。

19世紀ベトナムの農村部を舞台に、大地主のもとに第三夫人として嫁いだ少女の物語。第三夫人ということは第一と第二が存在するわけで、そういう女性同士のありがちなドロドロ嫉妬劇が描かれるのかと思いきや、それは凡人の先入観。一夫多妻制の家族を題材にしながら、主人公の少女の目を通して、たおやかに美しく生きる当時の女性達の生き様、その強さと儚さを見つめた、もっと深い人間ドラマ。

まず何よりも目を奪われるのが、優美で女性的な自然の美、神秘的で息をのむような東洋的映像美の数々。とにかく映像が美しい。本作の映像面での審美性は、最初から最後まで研ぎ澄まされ、徹底している。後半のあるシーンで、隣の隣に座っていた女性が小さく声を上げて、そして静かに嗚咽していたのですが、そのシーンは本当に悲しくて、そして魔法のように美しかった。本作は間違いなく傑作だと思う。


個人的評価 5点/5点満点

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ジョゼと虎と魚たち、メゾン・ド・ヒミコ [映画]

京都みなみ会館で犬童一心監督の特集。「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」「黄色い涙」の3作品が、週替わりで。
「黄色い涙」は観に行けなかったが、「ジョゼ虎」「メゾンドヒミコ」は仕事を強引に定時で切り上げて駆け込みました。そして映画館の暗闇の中で浸りました。2本ともDVD持ってますが、映画館でこの2本を再び拝見することができて、まさに至福の時間。

結局観に行けなかった「黄色い涙」は、私は嵐目当てではなくて音楽を担当したSAKEROCK目当てで観たかったけど、チケットが取りづらかったらしい。さすがARASHIって思った。「黄色い涙」もいい映画だったと記憶してるけど、個人的な思い入れでは「ジョゼ虎」「メゾンドヒミコ」がダントツすぎて。

犬童一心と渡辺あやの黄金コンビによる、ゼロ年代の日本映画を語る上で欠かせないと思われるこの2作品。「ジョゼ虎」は当時のミニシアターブームの一翼を担った、日本の映画史上の重要作品。映画としての完成度という点では更にその上を行く気がする「メゾンドヒミコ」。ちなみに犬童監督と渡辺あや脚本の作品はこの2作だけである。この2作品を残してくれたからこそ、この二人を黄金コンビと勝手に呼びたくなる。

健康優良児の大学生男子と口の悪い身体障害者の女の子の間の恋を描いた正統派青春恋愛映画の「ジョゼと虎と魚たち」。主演の妻夫木聡と池脇千鶴はまさに当たり役で、二人にとって本作はキャリア代表作の一つなのは間違いない。そして本作は上野樹里のデビュー作でもあり(「スウィング・ガールズ」より前。「スウィング・ガールズ」では高校生の役だけど、本作では大学生の役。)、他にも新井浩文や江口のりこが、本作ではフレッシュに輝いている。

観たの超久し振りですが、改めて観ると、好きなシーン目白押しで、二人が偶然遭遇するシーン辺りから、もう何もかもが感無量。本作の映画的ハイライトである二人のラブシーンはもちろん、映画のメインイメージにもなった二人の疾走シーン(世界の扉が開くこの感覚!)、切なさに胸が締め付けられる熱帯魚のシーン・・・ほかにも色々。久々に観た感のノスタルジーもあり、めちゃくちゃ浸ってしまいましたよ。何よりも、押し入れに佇む、小憎らしくも可愛いジョゼの姿に、もう一度スクリーンで会えたことも嬉しかった。坂の上で池脇千鶴と上野樹里が対峙する場面も大好きな場面の一つ。

恒夫の回想のモノローグから始まる本作の語りの基本構造は、二度見、三度見することで、青春映画的な効果がキリキリと増大する仕掛けになっている。明るい自然光線の多用による映画の全体的な色彩設計もまた、青春映画として効果的。そして流れてくる、くるり「ハイウェイ」のイントロ・・・タイミングが完璧だ。最高。それと、本作において議論の対象となった恒夫の涙。その意味が今までピンとこなかったけど、今回は何となく合点が行った。

家族を捨てたゲイの父を憎む娘と、余命いくばくもない老いた父と、父の愛人の若い男。
海岸沿いに位置するゲイ専門の老人ホームを舞台にしたヒューマンドラマの「メゾン・ド・ヒミコ」。今風に言えばLGBT系ということになりますが、当時はまだそんなジャンル名称は無かったと思う。本作も、観るの久しぶり。あらためて、本当に傑作やなあ、としみじみ浸りました。

ブサカワ女子(もちろんそういうメイクで)を好演した柴咲コウも、浮世離れしたヒミコを演じた田中泯も良いのですが、本作のオダギリジョーがちょっと有り得ないほど色っぽい。同性から見ても。そしてそんなオダジョーと対極的、というかある意味で表裏な存在として配置される西島秀俊も印象強し。ゲイの老人たちがまた、一人一人キャラ立ちしていて、非常にいい仕事してます。

映画の主な舞台は、一本道をバスに揺られてやがて辿り着く海岸沿いの、ゲイ専門の老人ホーム。六本木のゲイバーの伝説的なママだったヒミコが、引退後に海岸沿いのラブホテルを買い取ってゲイ専門老人ホームに改装した、という設定。そこはある種のサンクチュアリであり、入所者たちにとって世間と時間から隔絶されたシェルターであり、その瀟洒な建物の外にはただひたすら海と空が広がっていて、彼岸に近い異界感すら漂っている。メランコリックな本作のトーンを決定づけているのはこの舞台装置だと思う。もう一つ重要な要素が細野晴臣による音楽で、チルアウト感が絶妙です。

老いと孤独、性と死、聖と俗。土砂降りの雨と、燦燦と輝く青空。唐突なアニメーション、奇跡的な束の間のダンスフロア。様々なモチーフが溶け合いながら、簡単に折り合わない/なれ合わない登場人物たちの群像劇が、そして同性愛者の老人たちとの交流を通じて成長していく主人公の物語が海のそばで展開されていく。ビターで優しい、犬童監督の最高傑作だと思います。


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2019年テレビドラマ 個人的ベスト5 [テレビドラマ]

2019年も、仕事が忙しいといいながら、テレビドラマは結構観てました。
というより、一週間ごとに繰り返される日々のドラマチェックのせいで日々の睡眠時間が削られ、そのせいで日々の仕事の処理能力が落ち、余計になんか忙しくなった、というのが正しい。(それって社会人失格かも。)

1位 「これは経費で落ちません」
初回を何気なくチェックして、これ面白いなと思い、第二話、第三話と回を増すごとに、すっかりトリコになってしまいました。
会社組織の中でも経理部にスポットを当てたドラマは珍しいと思うけど、一見地味な経理部の仕事に誇りと使命感を持って職務をこなし、時に葛藤する等身大のヒロイン像を多部未華子が好演。そんなヒロインが、請求書という紙切れから、組織に潜む問題とその真相に毎回毎回迫っていくという、一話完結式、探偵スタイルのお仕事ヒロインドラマ。
伊藤沙莉、江口のりこほか、周囲の群像もパーフェクト。
ストーリーとテーマ性、何よりもキャラクター設定とキャスティングの勝利。

2位 「凪のお暇」
「すいか」を彷彿とさせるの世界観がまずたまらないワケですが(市川実日子の起用は確信犯的)、「これは経費で落ちません」同様に、本作は何よりもキャラクター造形とキャスティングの勝利です。高橋一生と中村倫也に話題が集中していた感がありますが、何よりも主演の黒木華の抜群の演技力あってこそ、でしょう。
毎回ファーストサマーウイカを別人の役で出したり、「バルス!」など、めっちゃ遊んでいるのも最高。

3位 「だから私は推しました」
NHKの深夜ドラマ枠が攻めていると話題になってましたが、その中でも本作はストーリーのクオリティが際立っていたように思います。女性地下アイドルにハマるOLとそのドルオタ仲間達のアツい姿を通して、オタク愛をアツく肯定しながら、そこにサスペンス的要素をスパイスしたのが非常に画期的。
オタク愛系としては、他に「トクサツガガガ」「腐女子、うっかりゲイに告る」(これもNHK)も攻めてて良かった。

4位 「グッドワイフ」
海外人気ドラマのリメイクで、常盤貴子主演、1話完結スタイルの弁護士ドラマ。
非常にエンタメ的足腰が強靭な、ハイレベル・ハイクオリティの娯楽作品。
1話完結スタイルながら、各回を縦軸的に貫く唐沢寿明演じる夫との間の夫婦の関係性の物語がまた、見応えバツグン。
キャストでは、特に小泉孝太郎が光ってました。

5位 「SCUM」
現代の格差社会を背景に、普通の若者たちが振り込み詐欺の掛け子としての技量を開花させていく様子を描いた、地上波ドラマとしては攻めすぎの内容。物語の冒頭、世代間格差を強調することで主人公たちの行動を正当化するように見せかけて、最終的にキッチリと落とし前を着けさせた点が、個人的に高評価。
ぜひNHK「サギデカ」とセットで。

後は、NHK朝の連ドラ「まんぷく」「なつぞら」「スカーレット」。
どれも素晴らしかったです。特に「スカーレット」は後世語り継がれるべき名作の香りがするのですが。

ほかにも、「時効警察3」「結婚できない男2」の、変わらぬ高い安定感の面白さ。
水戸黄門的なパターンの繰り返しとそこからの逸脱という遊川脚本の黄金フォーマットを追求した「ハケン占い師アタル」「同期のサクラ」の2本。
「きのう何食べた?」「わたし、定時で帰ります」も気骨あるドラマの作りで良かったと思います。

あとは、見逃せないのが4話完結スタイルのNHKプレミアムドラマ枠で、橋本愛と田中泯をキャスティングしたのが成功の恋愛ドラマ「長閑の庭」、千葉雄大主演による将棋サスペンス「盤上の向日葵」など、充実作が目白押しの一年。こうしてみると、NHKが凄い。

ただ「いだてん」については・・・志の高さは本当によくわかるけど、構成が凝りすぎていて私は付いていけませんでした(特に前半部)。落語家と韋駄天という二人の主人公のストーリーラインの並走、複数の時代/視点/語り手を同時展開させていくストーリーテリングは、それらが互いに交錯するまでは、集中力を保ち続けるのが正直ツラかった。
凄い!!と心の底から持ってかれてしまうような回(いわゆる神回というやつ)が何話かあったのも事実だけど。

けど、このような国民的ドラマで、近現代史を取り上げるという試みは、実は国の将来を考える上で本当に重要だと思う。近現代史を見つめなかったら、そのうち同じ大きな過ちを繰り返すことになると思うので。近現代史は視聴率が取れないからダメ、とか、そんな短絡的な話で本当にいいんですか??って感じ。脱線した。


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2019年 個人的ベストアルバム + ベストライブ [音楽 年間ベスト]

2019年のマイベスト音楽編。

1位 おとぎ話 「REALIZE」
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2位 the band apart 「POOL e.p.」
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3位 Big Thief 「Two Hands」
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4位 踊ってばかりの国 「光の中に」
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5位 Wilco 「ode to joy」
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6位以下は買ったもん/聴いたもん順です。

Ex:Re 「Ex:Re」
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柴田聡子 「がんばれ! メロディー」
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東郷清丸 「Q曲」
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Ogre You Asshole 「新しい人」
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ROTH BART BARON 「けものたちの名前」
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次点
Vampire Weekend 「Father of the Bride」
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今年は、あまり(自分にとって)新しい音楽に出会うことが出来ませんでした。ビッグ・シーフくらいでしょうか。あとは、自分がこれまでずっと聴いてきたアーティストの新譜のチェックに終始してしまったというか。
そろそろサブスクをちゃんと聴かんとあかんな、と思ってます。

1位のおとぎ話は配信オンリーですが、ガラッと音楽的な印象が変わっていてビックリ。しかしながら、「ISLAY」「眺め」で見せてきた彼らの、特にアレンジ面で顕著な音楽的進化の流れの延長線上にこのサウンドがあり、そして同時に、初期から変わらないメロディセンスとバンドアンサンブルの二つの武器が研ぎ澄まされている感じが、本当に素晴らしい。

2位のバンアパは4曲入りのミニアルバムですが、余りに名曲なので。4曲とも。

2019年のベストソングは
ROTH BART BARON 「けもののなまえ」 the band apart 「夢の中だけで」
おとぎ話「HELP」「BREATH」 We're Not A Band 「Hearts Beat Loud」

ついでにライブ13選。10選にしようとしたけど、絞り切れずに13本。

ROTH BART BARON 2019.1.19 アメリカ村CLAPPER
スーパーノア 2019.3.23 live house nano
冬にわかれて 2019.3.24 塩屋 旧グッゲンハイム邸
柴田聡子 in fire 2019.5.9 十三ファンダンゴ
くるり 2019.5.19 京都磔磔
折坂悠太 2019.6.1 梅田Shangri-La
踊ってばかりの国 2019.6.20 十三ファンダンゴ
スカート 2019.7.6 梅田Club Quattro
おとぎ話 2019.7.7 京都ネガポジ
Ogre You Asshole 2019.10.6 Umeda Trad
坂本慎太郎 2019.11.15 味園ユニバース
野宮真貴 2019.11.26 ビルボードライブ大阪
the band apart 2019.12.14 心斎橋Bigcat

上の中でベストを上げるのであれば、おとぎ話か、折坂悠太か。
それと、ロットバルトバロン、踊ってばかりの国、オウガ。オウガはヤバかった。
何よりも野宮真貴さん。「メッセージソング」聴けただけで、私の人生全てが肯定された気分。

重複するから上には挙げなかったけど、おとぎ話の地獄の2DAYSの二日目と恒例のクリスマスイブライブ、ロットバルトバロンの夏のConpass公演、踊ってばかりの国の秋のワンマン、スーパーノアとベランダの2マン、フジロックでのスカートも素晴らしかった。
空間が音で満たされ胸を鷲掴みにされるような瞬間。上に挙げたライブはすべて、そんな感じでした。


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ジュマンジ ネクスト・レベル [映画]

前作が割と面白かったのでそのうち観ようと思ってたら、年を越してしまい、会社の冬休みも終わってしまい、あやうく見逃すところだった。まあでもやっぱり、コレより「スターウォーズ(最後のヤツ)」「アナ雪2」を優先してしまうのが、人情ってもんですよね・・・。

しかしこれは見逃さなくて良かった。いやいや最高に面白かったです。冒険娯楽作品としての完成度が半端ない。娯楽性という点で前作より確実にパワーアップしており、その上まさか、しんみりと感動させられてしまうなんて。観る前まではそこまで期待してなかった。

テレビゲームの中、という設定なので、割と何でもアリで、それを映画として許容できる。アクロバティックな映像の連続で迫力満点。近くのシネコンで普通のバージョンで観たけど、カメラもキャラクターもダイナミックに動き回るので、もしも4DXバージョンが存在していれば、絶対に4DXで観たほうがいいです。

それにしてもつくづく感心させられてしまうのは、ドウェイン・ジョンソンのコメディセンスの高さ。で、それにジャック・ブラックが絡むっていう絵面がゼータクです。あと、途中でひょっこりと顔を出すオークワフィナがキュート。

展開が安直とか、色々言われるかもしれないけれど、これ、個人的には2019年ベスト10かその次点クラスに入れたい感じ。

個人的評価 5点/5点満点


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EXIT [映画]

韓国で大ヒットしたパニックアクションの本作、日本では「新感染」ほど話題になっていない感じですが、非常に面白かったです。地上からゆっくり上昇してくるテロの有毒ガスから逃げるために、ビルディングの上へ上へと移動していくというシンプルすぎるプロット。それを最後まで飽きさせずに楽しませてくれたのは、いかに見せ場を次々と繋げていくかっていうのと、それ以上に主人公のキャラクター設定に尽きるのでは。好きな女性にいいとこ見せよう、絶対に助けようと一生懸命頑張る主人公の設定が好感度大。

これが普通なら、有毒ガスをまき散らした悪党をぶっ倒してやろう、という流れになると思うのですが、本作ではそんな展開が1ミリも発生しない(!)っていうのも、ずいぶん思い切っていて、非常にいいです。

エンドロール見ないで帰っちゃダメ。

個人的評価 4.5点/5点満点


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2019年 映画ベスト10 + α [映画 年間ベスト]

仕事が忙しくなりすぎて軽いノイローゼが入りながらも、映画は例年同様たくさん観に行った2019年の私。そんな私のマイベスト(笑)。

1位 「バーニング(劇場版)」 監督:イ・チャンドン
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村上春樹原作を現代韓国の格差社会に落とし込んだ、イ・チャンドンの新たな傑作! 画面全体に漲る不穏なサスペンスの気配でミステリーの迷宮にグイグイ引き摺り込まれていく至極の2時間半。

2位 「ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた」 監督:ブレット・ヘイリー
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劇中でクリエイトされていく音楽にドキドキワクワク。ハーツ・ビート・ラウドっていうタイトルからして最高。カジュアルな形で挿入されるLGBT的要素も好感度大。
それとカーシー・クレモンズ可愛い(←重要)。


3位 「ROMA」 監督:アルフォンソ・キュアロン
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白と黒すなわち光と影で魅せる映像美。ここぞのタイミングで訪れる、キュアロンらしい長回しの映画的時間。
まさに映画館の暗闇で観るべき映画!

4位 「運び屋」 監督:クリント・イーストウッド
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個人的にイーストウッド最高映画を更新。アメリカの荒野を車でひた走る、飄々ジイさんのあっけらかんクライムムービー。

5位 「チワワちゃん」 監督:二宮健
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90年代の岡崎京子作品を現代SNS社会にアップデートし、日本版「スプリング・ブレーカーズ」とした手腕が見事。青春群像劇のテイストも素敵な余韻に。

以下、6-10位の5曲は、フラットに観たもん順です。

「ワイルド・スピード スーパーコンボ」 監督:デヴィッド・リーチ
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2019年の最強バディムービーにして、2019年で最もスゴイもんを観た感。

「アド・アストラ」 監督:ジェームズ・グレイ
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ディストピア的世界観に彩られたスペース・ロードムービー。
全編に漂う静謐感は2001 年宇宙の旅を彷彿とさせつつ、時折発生する絶体絶命イベントが本当に迫力満点で大満足。

「マリッジ・ストーリー」 監督:ノア・バームバック
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本作が秀逸かつ極めて現代的なのは、主役の2人の人物造形にステレオタイプ的な要素を排除した形で、熱いジェンダー議論が戦わされていること。主演二人の演技バトルも熱い。

「ドクター・スリープ」 監督:マイク・フラナガン
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言うまでもなく「シャイニング」続編なんですが、全然別もんです。
サイキックバトルの描写が本当に素晴らしく、この場を借りて絶賛させて頂きたい。

「お譲ちゃん」 監督:二ノ宮隆太郎
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「犬猫」以来のモラトリアム・ガールズムービーの傑作。長回し主体のカメラワーク、生産性の無い会話の反復、世界と対峙するようなヒロインの強い眼差し、そして海・・・これぞ映画!な1本。

次点として。

「幸福なラザロ」 監督:アリーチェ・ロルバケル
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これぞ映画の魔法! この新鋭イタリア人女性映画作家は今後も最注目すべき! 
何でベスト10に入らないんだ。

「よこがお」 監督:深田晃司
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女優2人がとにかく素晴らしい。
「バーニング」でもそうですが、ミステリーとサスペンスこそストーリーテリングにとって最大の牽引力となることを本作は証明してます。

「ゴールデン・リバー」 監督:ジャック・オディアール
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変化球的かつ骨太な、J.オディアール流西部劇。
今年のホアキンは、個人的には「JOKER」ではなくてコッチなのです。


それ以外では、欧米圏では
「女王陛下のお気に入り」「COLD WAR あの歌、2つの心」「立ち上がる女」「アマンダと僕」「スパイダーマン Far From Home」「ラスト・ムービースター」「JOKER」「ラスト・クリスマス」「テッド・バンディ」
アジア圏からは
「芳華 youth」「帰れない二人」「象は静かに座っている」「読まれなかった物語」(最後のはトルコ)
日本映画からは
「愛がなんだ」「月極オトコトモダチ」「見えない目撃者」「ブルーアワーにぶっ飛ばす」「人間失格」「蜜蜂と遠雷」「宮本から君へ」「虚空門 GATE」「カツベン!」
こうして見ると、日本映画は大御所/中堅/新鋭作家が良作を連発した当たり年だったと思います。

アニメーションでは、「HELLO WORLD」。馴染み深い京都の街を徹底的に遊んだ、アニメーションの地平を新たに切り開く良作でした。それ以外では、個性的な絵作りにイマジネーションの爆発を見る想いの「海獣の子供」「きみと、波に乗れたら」の2作品。

2019年と言えば、「天気の子」「Once Upon A Time In Hollywood」「JOKER」だと思うのですが、その3作品の中では「JOKER」ですかねー。明確にコンセプチュアルで、今の時代を最もよく反映した社会派作品だと思う。「Once Upon ...」は個人的に期待値が高すぎたのか、今いちノレなかったです。客観的に見て、いい映画だと思うのですが。
「天気の子」については、自分的には全くダメでした。新海作品では「秒速5センチメートル」と「君の名は」が大好きですが、今作は、世界の危機を少女一人に背負わせる世界設定が全然受け付けませんでした。

あと、2019年で特記すべきは、Netflix作品の劇場公開の波。上に挙げた「ROMA」「マリッジストーリー」以外にも、「アイリッシュマン」、そしてこのお正月に見たので上に挙げませんでしたが「2人のローマ教皇」も傑作でした(上のベスト10に入ってたかも)。この4作品の監督の名前を羅列するだけでも凄い。

最後に俳優部門。

男性では成田凌。「チワワちゃん」「愛がなんだ」「さよならくちびる」「カツベン!」と映画の当たり年で、一番目についたので。
他にはブラピ、ホアキン、ジョン・C・ライリー、イーストウッド、アダム・ドライバー、池松壮亮、「バーニング」の二人、「ワイルドスピード」の二人。

女優さんでは、レベッカ・ファーガソン。「ドクタースリープ」のヴィラン役に惚れてしまった。
他には「ハーツ・ビート・ラウド」カーシー・クレモンズ。
それにスカーレット・ヨハンソン、チャオ・タオ(「帰れない二人」)、筒井真理子、市川実日子、門脇麦、夏帆、「女王陛下のお気に入り」の3人、「バーニング」の彼女、他多数。


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