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2023年 映画ベスト10 + α  [映画 年間ベスト]

年末年始の趣味。映画の年間ベストと音楽の年間ベスト。
というわけで2023年も映画は豊作でした。

1位 「TAR」監督:トッド・フィールド
権力についての映画。映像設計、音響設計、ストーリー構成、そして君臨するケイト・ブランシェット。完璧。
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2位 「ミッション:インポッシブル/デッド・レコニング PART ONE」 
監督:クリストファー・マッカリー
いったいこの人は何やってるのでしょうか。決死のアクションつるべ撃ち。絶頂期のジャッキーチェンを思い出した。ただこの人は一体何歳なの?
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3位 「フェイブルマンズ」監督:スティーブン・スピルバーグ
映画の大巨匠の自伝映画にして家族映画の歴史的傑作。
映画少年の夢と傷。甘美で限りなく苦い。
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4位 「ザ・クリエイター/創造者」監督:ギャレス・エドワーズ
過去の幾多のSFアクション映画の名作の集大成的作品。いやこれが今年の一位でもよかったんですが。
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5位 「ダンサー イン Paris」監督:セドリック・クラピッシュ
今年No.1の青春映画。音楽も、ダンスの躍動も、本作で提示される価値観も、最高。
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6位から10位は見たもん順で。

「バビロン」監督:デイミアン・チャゼル
ハリウッド創世記の神話。M.ロビーとB.ピットにすべて持っていかれる。
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「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」監督:金子由里奈
繊細な人は弱い人ではなく、精神が強靭な人。
価値観を反転させてくれた親密でストロングな映画。
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「ダンジョンズ&ドラゴンズ」
監督:ジョナサン・ゴールドスタイン&ジョン・フランシス・デイリー
剣と魔法の世界を最新テクノロジーで完全映像化。文句なしで超おすすめの娯楽大作。
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「aftersun」監督:シャーロット・ウェルズ
これも今年を代表する一作だと思います。
遠い記憶の夏の気配。大人になって親を理解するということ。あのラストのカメラワークに泣く。
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「君たちはどう生きるか」監督:宮崎駿
イマジネーションの巨匠から次の世代のクリエイター達への渾身のメッセージ。
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惜しくもベスト10から泣く泣く落とした作品。
「ちひろさん」監督:今泉力哉
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「緑のざわめき」監督:夏都愛未
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「福田村事件」監督:森達也
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「ファルコン・レイク」監督:シャルロット・ルボン
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「私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター」監督:アルノー・デプレシャン
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上記以外でも素晴らしい作品に多数出会えました。

日本映画では
「エゴイスト」「わたしの見ている世界が全て」「波紋」「怪物」「凪の憂鬱」
「1秒先の彼」「アイスクリームフィーバー」「スイート・マイホーム」
「戦慄怪奇ワールド コワすぎ!」「ミステリと言う勿れ」「まなみ100%」
「ABYSS アビス」「バッド・ランズ」「アンダーカレント」「月」「正欲」
「愛にイナズマ」「首」「市子」「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」「ほかげ」

海外映画では
「パーフェクトドライバー/成功確率100%の女」「対峙」「ボーンズ アンド オール」
「いつか君にもわかること」「ザ・ホエール」「レッド・ロケット」「帰れない山」
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3」「ジュリア(s)」「ザ・フラッシュ」
「インディ・ジョーンズと運命のダイアル」「マイ・エレメント」「バービー」
「ドラキュラ/デメテル号最期の航海」「コンフィデンシャル:国際共助捜査」
「PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ」「サタデー・フィクション」
「極限境界線 救出までの18日間」「カンダハル 突破せよ」
「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」「ロスト・フライト」
「マエストロ その音楽と愛と」「Renaissance : A Film by Beyonce」

最優秀男性俳優は磯村勇斗。「月」「正欲」「波紋」と作品選び(選ばれ)が神でした。
他には鈴木亮平(「エゴイスト」)、トム・クルーズ。

最優秀女優はマーゴット・ロビー。「バビロン」「バービー」と文句なし。
僅差でケイト・ブランシェット(「TAR」「バーナデッドは行方不明」)、これで引退なんて言わないで。
それと挙げたいのがパク・ソダム(「パーフェクトドライバー」「PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ」)。


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2022年 映画ベスト10 + α  [映画 年間ベスト]

2022年、私はブログを更新しませんでした。

個人的なベストテンです。

1位 「やがて海へと届く」 監督:中川龍太郎
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ミステリーから祈りへ。アニメーションの使い方も効果的な、今観るべき真摯なシスターフッド映画。

2位 「トップガン マーヴェリック」 監督:ジョセフ・コシンスキー
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問答無用の映像体験。2022年の映画といえば、まずコレでした。

3位 「四畳半タイムマシンブルース」 監督:夏目真悟
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アニメ「四畳半神話体系」で「サマータイムマシンブルース」を完全リメイクするという発想が天才的。めっちゃ面白いです。

4位 「女神の継承」 監督:バンジョン・ピサンタナクーン
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タイの土着ホラー超傑作。前半のモキュメンタリーから、一気に振り切った展開を見せる後半という流れ、本当に怖いのですが、最高。

5位 「カモン カモン」 監督:マイク・ミルズ
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子供たちという人類の未来との対話。
とても暗い一年だったからこそ、この希望の映画をベスト5に入れたかったです。

6位から10位は見たもん順です。

「さがす」 監督:片山慎三
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今年はミステリーやサスペンスが豊作だったと思う。その日本代表その1。
韓国映画的ルックでグイグイ物語がドライブしていく傑作。

「MADE IN YAMATO」 監督:宮崎大祐ほか
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神奈川県大和市を舞台にした5作品の短編オムニバス。なんか自由で風通しがいい。

「ある男」 監督:石川慶
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今年の日本のミステリー映画代表その2、傑作。
いろいろ凄い映画だと思いますが、メインの3人の素晴らしさが際立ってました。

「グリーン・ナイト」 監督:デヴィッド・ロウリー
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ビジュアルもストーリーも完璧な、ゴシック・ファンタジーの傑作。

「THE FIRST SLAM DUNK」 監督:井上雄彦
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新しい切り口で、熱烈原作ファンにとっても、そうでない人ににとっても、120点満点の映画化。

正直、自分の中で上の10作品と甲乙つけがたい、次点クラスの6作品。これも見たもん順。

「ブラック・ボックス 音声分析捜査」 監督:ヤン・ゴズラン
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徐々に暗闇に踏み込んでいくテイストの、フランス産ミステリー映画の傑作です。

「ブルー・バイユー」 監督:ジャスティン・チョン
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移民社会アメリカの理不尽に曝される家族の物語。映像美も際立ってました。

「クレッシェンド 音楽の架け橋」 監督:ドロール・ザハビ
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ウクライナだけでなく、パレスチナも忘れてはならないと思う。
パレスチナ問題の現実を直視し、その上で、分断を超えること。

「麻希のいる世界」
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新たな切り口のファム・ファタル映画。鋭利で甘美な。

「ロンバス」 監督:セルゲイ・ロズニツァ
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親ロシア勢力に支配されたドンバス地域の現実を短編オムニバスでブラックに描く本作は必見。本作以外にも「リフレクション」も。

「NOPE」 監督:ジョーダン・ピール
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モノ凄い予算規模で、モノ凄いB級映画を作っちゃった。ホラーエンタメオモシロ映画!

今年は「トップガン マーヴェリック」と「NOPE」と「RRR」と「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」の年だったと思います。
つまり映画館を一大アトラクションの経験に変えてしまう、問答無用のアクション娯楽超大作の一年と言いますか、コロナ渦のステイホーム(配信)から映画館に観客を引き戻す大きな流れがあって、その先陣を切ったのがトップガンだったわけです。
個人的には上の4作品に「スラムダンク」も追加したいところで、あとこじつければ、PTAの「リコリス・ピザ」もその流れの一つとして位置付けたい。特に、あのトラック下り坂バック暴走とか、配信ではなくて大きなスクリーンで観ることが前提の作りだと思う。

あと日本映画は、去年に引き続きの豊作の一年。特に「恋は光」「千夜、一夜」「線は、僕を描く」「窓辺にて」「ケイコ 目を澄ませて」は傑作という形容詞がぴったりでした。
他にも「愛なのに」「猫は逃げた」「ハケンアニメ!」「SABAKAN」「百花」「さかなのこ」「そばかす」なんかも非常に好きでした。

外国映画で上にあげた以外では、
「スティル・ウォーター」「コーダ あいのうた」「ベルファスト」「Hand Of God 神の手が触れた日」「恋人はアンバー」「バルド 偽りの記録と一握りの真実」「ペルシャン・レッスン」「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」などなど。
配信オンリーの映画が全然観ることができていないので、世界の潮流には全然キャッチアップできていないとは思ってます。

最優秀の男性俳優は、やっぱり・・・トム・クルーズ。
次点で「RRR」の二人。
日本人では、窪田正孝、佐藤二郎。

女優さんは岸井ゆきの。「やがて海へと届く」「神は見返りを求める」に続き、「ケイコ 目を澄ませて」はおそらく決定打でしょう。
次点で、大活躍の河合優実。この人は今年は本当に凄かった。


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2021年 映画ベスト10 + α  [映画 年間ベスト]

結局ブログ全然更新しないまま1年放置してしまった2021年。

1位 「アメリカン・ユートピア」監督:スパイク・リー
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最高です!音楽のプリミティブなパワー、アートと政治性をつなぐ知性とユーモア。
J.モネイのカバーでその興奮は沸点に。

2位 「偶然と想像」監督:濱口竜介
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軽妙な会話劇に宿る小さな奇跡、その鮮やかさに感涙。
未来の巨匠をリアルタイムで私は体験してる!

3位 「DUNE/デューン 砂の惑星」監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
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IMAXで鑑賞、驚異の異世界体験。
これから何かが始まる感のワクワクに、何よりもワクワク。

4位 「空白」監督:吉田恵輔
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2021年、最も壮絶で最も打ちのめされた作品。
感動した、どころの騒ぎではない。

5位「プロミシング・ヤング・ウーマン」監督:エメラルド・フェネル
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これは今語られるべき物語だと思う。
こんな激しい怒りをポップネスにコーティングした映画を他に知らない。

以下は見たもん順
「すばらしき世界」監督:西川美和
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遂に実現した西川美和×役所広司。その他の配役も絶妙。
人間の光と影を透徹な視線で見つめる作家性は衰え知らず。

「おろかもの」監督:芳賀俊 鈴木祥
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本作で軽やかに謳われるシスターフッドに猛烈に感動しました。

「ドライブ・マイ・カー」監督:濱口竜介
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村上春樹という素材に自分の作家性を掛け合わせた濱口監督の才能。
風変わりで真摯でミステリアスな、心の内面を辿るロードムービー。

「孤狼の血 LEVEL2」監督:白石和彌
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特Aクラスの韓国映画に匹敵する重いバイオレンス感。
メインの3人+1(誰かはヒミツ)が本当にヤバかったです。

「君は永遠にそいつらより若い」監督:吉野竜平
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モラトリアムな日常を描く青春映画。やがて顔を出す暗く深い裂け目。
これも今年を代表するシスターフッド映画の傑作。

次点クラス
「まともじゃないのは君も一緒」監督:前田弘二
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主演二人の会話劇のグルーヴに惚れ惚れするコメディ。

「街の上で」監督:今泉力哉
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コメディ映画としても街の映画としても文句のつけようがない。
今泉力哉監督の真骨頂であり最高傑作。

「水を抱く女」監督:クリスティアン・ペッツォルト
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ミステリアスな展開に惹き込まれてしまう恋愛幻想譚。

「映画 フィッシュマンズ」監督:手嶋悠貴
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これは青春映画。彼らにとっても私にとっても。

「漁港の肉子ちゃん」監督:渡辺歩
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2021年のアニメ映画ではこれがベストだと思う。ジブリへのオマージュも◎。

「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」監督:江口カン
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個人的に、2021年の最高アクション映画はハリウッドでも香港でもなくて、コレ。

「トゥルーノース」監督:清水ハン栄治
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北朝鮮の強制収容所の日常を描いた海外アニメ。
極限の状況の中で人間性の尊厳を謳い上げる驚くべきストーリーテリング。

「イン・ザ・ハイツ」監督:ジョン・M・チュウ
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これが世界のリアリティ! ミュージカル部分だけでなく、英語とスパニッシュがチャンポンで繰り出される会話もグルーヴィで楽しい。

「先生、私の隣に座っていただけませんか?」
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黒木華×江本佑。しかしこれが期待以上の完成度。
全く世間の話題に上がってないのが本当に不思議な、傑作恋愛コメディ。

「子供はわかってあげない」監督:沖田修一
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最高の夏休み映画。沖田監督ハズレなし。

「キャンディマン」監督:ニア・ダコスタ
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都市伝説的怪人ホラーとBLMの組み合わせが、鮮烈極まりない。

「草の響き」監督:斎藤久志
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これは名作。精神のバランスを崩してしまった一人の男の再生と、彼に寄り添う妻の
密かな葛藤を淡々と追い続けながら、カメラは世界の暖かさも冷たさも等しく映し出す。

というわけで邦画が傑作揃いでヤバかった1年。下の邦画のリストの膨大さと言ったら!
というか洋画の興行不振が深刻で(公開本数も少ないし、DUNEみたいな傑作の娯楽作が全然人が入らなかった、というのは、結構致命的では)これから日本の映画文化はどうなってしまうんだろう?という感じです。
日本の映画のレベルはめちゃくちゃ上がってますが(今年で言えば、濱口竜介、白石和彌、吉田恵輔を筆頭に)、外国映画は配信メインになっていくのか?でも映画館で色んな国/時代/ジャンルの映画に浸る文化は消えないで欲しいと心から願ってます。

あとは、シスターフッド的映画とLGBTQ映画が引き続き傑作揃い。
それとアメリカからのBLMの流れ(「キャンディマン」とか。「アメリカン・ユートピア」も。)

上記以外では、外国映画では
「聖なる犯罪者」「春江水暖」「ミナリ」「ノマドランド」「夏時間」
「ジェントルメン」「ペトルーニャに祝福を」「クルエラ」「スウィッチ」
「すべてが変わった日」「ザ・スーサイド・スクワット」
「モーリタニアン 黒塗りの記録」「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」「花椒の味」
「MONOS 猿と呼ばれし者たち」「キャッシュトラック」「パーフェクト・ケア」
「アイス・ロード」「ダヴィンチは誰に微笑む」「ラストナイト・イン・ソーホー」
「ただ悪より救いたまえ」「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」
「キングスマン ファースト・エージェント」「ドント・ルック・アップ」

日本映画では
「ヤクザと家族」「あのこは貴族」「あの頃。」「すくってごらん」
「騙し絵の牙」「砕け散るところを見せてあげる」「椿の庭」「僕が飛び跳ねる理由」
「地獄の花嫁」「映画大好きポンポさん」「猿楽町で会いましょう」「BLUE/ブルー」
「るろうに剣心 The Beginning」「青葉家のテーブル」「ベイビーわるきゅーれ」
「ボクたちはみんな大人になれなかった」「ひらいて」「由宇子の天秤」
「彼女が好きなものは」「カネコアヤノ Zeppワンマンショー2021」

最優秀男性俳優は、松坂桃李。(「虎狼の血 LEVEL2」「空白」「あの頃。」)
最優秀女性俳優は、奈緒。(「君は永遠にそいつらより若い」「草の響き」「先生、わたしの隣に座っていただけませんか?」)


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2020年 映画ベスト10 + 次の10作品 + 選外の傑作 [映画 年間ベスト]

2020年は散々な1年でしたが、公開された映画は驚くほど傑作だらけの1年。マイベスト10は全て海外の映画で占拠されてしまいました。どの作品も他の年ならベスト3に確実にランクインしたくらいの傑作が揃った1年。
日本映画も決してハズレイヤーではなくて、いい作品/野心的な作品が多数。

ちなみに傑作である「第三夫人と髪飾り」「盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲」の2作は、私が観たのは2020年ですが、日本での正式な公開は2019年だったらしく、よって選外としました。(そういう言い訳が無いと下の10作品に絞り切れなかったです。)

順位付けも相当迷った。全部1位でいい。もう順位関係ないっす。

1位「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」監督:オリヴィア・ワイルド
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爆笑、爆笑、そして感涙。スクールカーストという定番的枠組みをオールドファッションにしてみせた、最新仕様の青春映画、かつ、最強のバディ映画。暗い1年だったから、本作を1位に。

2位「ジョジョ・ラビット」監督:タイカ・ワイティティ
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こういうオモロい切り口のナチ映画はもはや発明。しかも反ナチス/反ファシズム映画として誠実。S.ヨハンソン、S.ロックウェルほか、キャストも最高よ。

3位「凱里ブルース」監督:ビー・ガン
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後半の40分ワンカット、このたまらないライブ感と夢幻感は何?もう完全に新世代。

4位「ミッドサマー」監督:アリ・アスター
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牧歌的な桃源郷が強烈な悪夢に変容していく、白昼夢的モダンホラー。男性主義社会に対する明確なアンチの視座が、陶酔的なようでいて実は非常に醒めている感じもまた、強烈。

5位「ハーフ・オブ・イット」(Netflix配信)監督:アリス・ウー
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恋と友情、疎外感と将来。青春映画の新たなスタンダード。今年一番繊細で美しい映画。

6位以下はランク付けではなく、観たもん順です。

「パラサイト」監督:ポン・ジュノ
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やっぱり外せない、文句なく2020年を代表する完璧な一本。突如トップギアに上げてくる所なんか凄いとしかいいようがない、社会派ブラックコメディの最高傑作。

「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」監督:テリー・ギリアム
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二人の主人公の夢追い人な姿が、テリー・ギリアム本人と否が応でもオーバーラップ。
現実と空想の絶妙なバランスといい、この監督らしいビジュアルセンスといい、まさに集大成。主演の二人も抜群。

「異端の鳥」監督:バーツラフ・マルホウル
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圧倒的に深遠な白黒の映像世界を彷徨い、人間性の善と悪に迫る。メガトンヘビー級のロードムービー。

「鵞鳥湖の夜」監督:ディアオ・イーナン
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特異なビジュアルセンスが数分おきに炸裂しまくる、究極のスタイリッシュノワール。これが1位でもいいんだけど。

「息子の面影」(ラテンビート映画祭2020、配信)
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メキシコを舞台にしたロードムービー。圧倒的な映像美に目を奪われているうちに、地獄の底に突き落とされてしまう。ぜひスクリーンで再見したい。これが1位でも本当にいい。

次点クラスの10作品
「フォードvsフェラーリ」監督:ジェームズ・マンゴールド
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「リチャード・ジュエル」監督:クリント・イーストウッド
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「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」監督:セバスティアン・レリオ
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「ダンサー そして私たちは踊った」監督:レヴァン・アキン
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「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」監督:アグニェシュカ・ホランド
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「窮鼠はチーズの夢を見る」監督:行定勲
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「浅田家!」監督:中野量太
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「マロナの幻想的な物語り」監督:アンカ・ダミアン
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「モスキート」監督:ジョアン・ヌノ・ピント(京都ヒストリカ映画祭2020)
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「燃ゆる女の肖像」監督:セリーヌ・シアマ
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上記以外では、北中南米・欧州圏では
「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」「1917 命をかけた伝令」
「ナイチンゲール」「ペイン・アンド・グローリー」「SKIN」
「透明人間」「WAVES」「ブラック アンド ブルー」「TENET」
「カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇」「シカゴ7裁判」
「エマ 愛の罠」「オン・ザ・ロック」「おもかげ」
「ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢」「ザ・プロム」
「エンドオブラブ」「ペルセウス座流星群」(なら国際映画祭)
「魂は屈しない」(京都ヒストリカ映画祭)
「Once Upon A Time In Venezuela」「マリアの旅」(ラテンビート映画祭、配信)

アジア、アフリカ圏では
「はちどり」「82年生まれ、キム・ジヨン」「鬼手」(韓国)
「チィファの手紙」(中国)(という事で良いのかどうか・・・)
「ボヤンシー 眼差しの向こうに」(カンボジア)
「ラフィキ:ふたりの夢」(ケニア)

邦画では(観たもん順)
「ロマンスドール」「37 Seconds」「his」「音楽」
「ワンダーウォール劇場版」「架空OL日記」「初恋」
「劇場」「れいこいるか」「朝が来る」「星の光」
「蒲田前奏曲」「罪の声」「ジオラマボーイ、パノラマガール」
「彼女は夢で踊る」「VIDEOPHOBIA」「私をくいとめて」

日本の映画もこう並べて見ると、大御所・中堅・新鋭監督の素晴らしい作品が多数公開された充実の1年だったのですが。
ちなみに日本映画のベストワンは、豪華なキャスティングで語られるべき物語を語った「浅田家!」です。

所感としては、LGBTQモノと、シスターフッド的というかアンチ男性中心主義(Me Tooムーブメント以降の)の映画が、本当に多かった。優れた作品において特に。それが今の世界の大きなトレンドであることを強く感じた。上に列記した作品も、大半はこのどちらかにカテゴライズすることができます。

それ以外にホットなイシューとして、経済格差とBLMがあると思うのですが、格差問題は「パラサイト」が決定打。前年の「JOKER」に引き続いて。
BLM系は今後増えてくると思うけど、2020年で言えば「ブラック アンド ブルー」ですかね。それ以前だったら「ゲットアウト」「デトロイト」とか色々あると思いますが。

毎年の恒例なので、俳優部門。
男性はサム・ロックウェル(「リチャード・ジュエル」「ジョジョ・ラビット」)。

女性はフローレンス・ピュー(「ミッドサマー」「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」「レディ・マクベス」)。

それとこれだけは言いたいのですが、映画館は安全! 観客全員が常識をわきまえれば。



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2019年 映画ベスト10 + α [映画 年間ベスト]

仕事が忙しくなりすぎて軽いノイローゼが入りながらも、映画は例年同様たくさん観に行った2019年の私。そんな私のマイベスト(笑)。

1位 「バーニング(劇場版)」 監督:イ・チャンドン
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村上春樹原作を現代韓国の格差社会に落とし込んだ、イ・チャンドンの新たな傑作! 画面全体に漲る不穏なサスペンスの気配でミステリーの迷宮にグイグイ引き摺り込まれていく至極の2時間半。

2位 「ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた」 監督:ブレット・ヘイリー
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劇中でクリエイトされていく音楽にドキドキワクワク。ハーツ・ビート・ラウドっていうタイトルからして最高。カジュアルな形で挿入されるLGBT的要素も好感度大。
それとカーシー・クレモンズ可愛い(←重要)。


3位 「ROMA」 監督:アルフォンソ・キュアロン
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白と黒すなわち光と影で魅せる映像美。ここぞのタイミングで訪れる、キュアロンらしい長回しの映画的時間。
まさに映画館の暗闇で観るべき映画!

4位 「運び屋」 監督:クリント・イーストウッド
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個人的にイーストウッド最高映画を更新。アメリカの荒野を車でひた走る、飄々ジイさんのあっけらかんクライムムービー。

5位 「チワワちゃん」 監督:二宮健
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90年代の岡崎京子作品を現代SNS社会にアップデートし、日本版「スプリング・ブレーカーズ」とした手腕が見事。青春群像劇のテイストも素敵な余韻に。

以下、6-10位の5曲は、フラットに観たもん順です。

「ワイルド・スピード スーパーコンボ」 監督:デヴィッド・リーチ
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2019年の最強バディムービーにして、2019年で最もスゴイもんを観た感。

「アド・アストラ」 監督:ジェームズ・グレイ
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ディストピア的世界観に彩られたスペース・ロードムービー。
全編に漂う静謐感は2001 年宇宙の旅を彷彿とさせつつ、時折発生する絶体絶命イベントが本当に迫力満点で大満足。

「マリッジ・ストーリー」 監督:ノア・バームバック
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本作が秀逸かつ極めて現代的なのは、主役の2人の人物造形にステレオタイプ的な要素を排除した形で、熱いジェンダー議論が戦わされていること。主演二人の演技バトルも熱い。

「ドクター・スリープ」 監督:マイク・フラナガン
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言うまでもなく「シャイニング」続編なんですが、全然別もんです。
サイキックバトルの描写が本当に素晴らしく、この場を借りて絶賛させて頂きたい。

「お譲ちゃん」 監督:二ノ宮隆太郎
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「犬猫」以来のモラトリアム・ガールズムービーの傑作。長回し主体のカメラワーク、生産性の無い会話の反復、世界と対峙するようなヒロインの強い眼差し、そして海・・・これぞ映画!な1本。

次点として。

「幸福なラザロ」 監督:アリーチェ・ロルバケル
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これぞ映画の魔法! この新鋭イタリア人女性映画作家は今後も最注目すべき! 
何でベスト10に入らないんだ。

「よこがお」 監督:深田晃司
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女優2人がとにかく素晴らしい。
「バーニング」でもそうですが、ミステリーとサスペンスこそストーリーテリングにとって最大の牽引力となることを本作は証明してます。

「ゴールデン・リバー」 監督:ジャック・オディアール
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変化球的かつ骨太な、J.オディアール流西部劇。
今年のホアキンは、個人的には「JOKER」ではなくてコッチなのです。


それ以外では、欧米圏では
「女王陛下のお気に入り」「COLD WAR あの歌、2つの心」「立ち上がる女」「アマンダと僕」「スパイダーマン Far From Home」「ラスト・ムービースター」「JOKER」「ラスト・クリスマス」「テッド・バンディ」
アジア圏からは
「芳華 youth」「帰れない二人」「象は静かに座っている」「読まれなかった物語」(最後のはトルコ)
日本映画からは
「愛がなんだ」「月極オトコトモダチ」「見えない目撃者」「ブルーアワーにぶっ飛ばす」「人間失格」「蜜蜂と遠雷」「宮本から君へ」「虚空門 GATE」「カツベン!」
こうして見ると、日本映画は大御所/中堅/新鋭作家が良作を連発した当たり年だったと思います。

アニメーションでは、「HELLO WORLD」。馴染み深い京都の街を徹底的に遊んだ、アニメーションの地平を新たに切り開く良作でした。それ以外では、個性的な絵作りにイマジネーションの爆発を見る想いの「海獣の子供」「きみと、波に乗れたら」の2作品。

2019年と言えば、「天気の子」「Once Upon A Time In Hollywood」「JOKER」だと思うのですが、その3作品の中では「JOKER」ですかねー。明確にコンセプチュアルで、今の時代を最もよく反映した社会派作品だと思う。「Once Upon ...」は個人的に期待値が高すぎたのか、今いちノレなかったです。客観的に見て、いい映画だと思うのですが。
「天気の子」については、自分的には全くダメでした。新海作品では「秒速5センチメートル」と「君の名は」が大好きですが、今作は、世界の危機を少女一人に背負わせる世界設定が全然受け付けませんでした。

あと、2019年で特記すべきは、Netflix作品の劇場公開の波。上に挙げた「ROMA」「マリッジストーリー」以外にも、「アイリッシュマン」、そしてこのお正月に見たので上に挙げませんでしたが「2人のローマ教皇」も傑作でした(上のベスト10に入ってたかも)。この4作品の監督の名前を羅列するだけでも凄い。

最後に俳優部門。

男性では成田凌。「チワワちゃん」「愛がなんだ」「さよならくちびる」「カツベン!」と映画の当たり年で、一番目についたので。
他にはブラピ、ホアキン、ジョン・C・ライリー、イーストウッド、アダム・ドライバー、池松壮亮、「バーニング」の二人、「ワイルドスピード」の二人。

女優さんでは、レベッカ・ファーガソン。「ドクタースリープ」のヴィラン役に惚れてしまった。
他には「ハーツ・ビート・ラウド」カーシー・クレモンズ。
それにスカーレット・ヨハンソン、チャオ・タオ(「帰れない二人」)、筒井真理子、市川実日子、門脇麦、夏帆、「女王陛下のお気に入り」の3人、「バーニング」の彼女、他多数。


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2018年 映画ベスト10+α [映画 年間ベスト]

2018年も最初の2-3か月だけブログ更新して後は何も書けない状態で過ぎてしまった。
それなりに生きてました。仕事もそれなりに頑張った。そして例年に負けず劣らず、映画や音楽がもたらす大きな感動に出会うことができた1年ではありました。

という訳で、年末年始に限ってゾンビのごとく蘇るこのブログ。
2018年に観た映画のマイベスト10+α。この時期、色んな人の年間ベスト10を見るのは面白いですよね。

1位 「スリー・ビルボード」 監督:マーティン・マクドナ
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ラスティベルトを舞台に、今のアメリカ全土を覆う分断、そしてアメリカ社会に潜む暴力というマグマを、本作は洗練された(そして時に野蛮な)語り口で見事に描き出す。メインの3人がまず素晴らしいし、脇役の人たちも注目株がズラリ。

2位 「寝ても覚めても」 監督:濱口竜介
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主演の二人がいいし(特に東出昌大)、脇の人たちも軒並み素晴らしいし(上と同じこと書いてる)、序盤から中盤のストーリーの展開も素晴らしい。しかし何といっても終盤の怒涛。鷲掴みされてしまった。これぞ映画的な跳躍、ってやつです。

3位 「夏の鳥」(ラテンビート映画祭) 監督:クリスティナ・ガジェゴ、シーロ・ゲーラ
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ラテン世界の注目すべき俊英の新作が集結した今年のラテンビート映画祭は収穫多し。中でも私の中で頭抜けていたのは、「彷徨える河」(←傑作!数年前の個人的ベストワン作品)のシーロ・ゲーラが手掛けた本作。端的に言えば、70年代のコロンビアの先住民地域を舞台とする、マジックレアリスム的世界観に彩られた麻薬マフィア一大叙事詩。

4位 「教誨師」 監督:佐向大
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観るまでは、正直、重いけど地味な感じの映画かなあ、と思っていたのだけど・・・教誨師と6人の死刑囚の対話を触媒に、現在と過去、現実と非現実の間のボーダーをひょいと跨ぎ越え(極めて映画的な手法で)、そうして人間性の深淵に静かに迫っていく、ヘビーな傑作。本作が最後の主演作となった大杉漣、彼は映画に選ばれた人だと思った。

5位 「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」 監督:クレイグ・ギレスピー
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スケーティングシーンのダイナミックなカメラワーク。ホワイトトラッシュな人間模様の中に流れる過酷な現実と乾いたユーモア。傷だらけでも夢に向かって全力で突き進む主人公の愛おしすぎる人物造形。

6位から10位は並立として。観たもん順です。

「悪女 AKUJO」 監督:チョン・ビョンギル
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この映画で格闘アクションというジャンルの究極まで行き着いたと思います。とにかく長回しでアクロバティックなバイオレンスアクションに全身の血液が沸騰。韓国映画ってほんまにすごい。

「ナチュラル・ウーマン」 監督:セバスティアン・レリオ
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恋人の死をきっかけとして、いわれなき差別に直面するトランスジェンダーの女性の一種の冒険を描いたチリの映画。映画ならではの映像表現、苦しくても快活さを失わないヒロインの造形。今年のLGBT映画では個人的ナンバーワン。

「ビューティフル・デイ」 監督:リン・ラムジー
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構図がいちいちバッチリ決まってるカットの積み重ねの中に、熊のような容姿のホアキン・フェニックスが重たいバイオレンスを炸裂させる、緊張感抜群のクライム・サスペンス。

「カメラを止めるな」 監督:上田慎一郎
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とにかく面白い、そしてその面白さの理由を人に説明できない(ネタバレになるから)。四の五の言わずに、映画マニアにも映画全然観ない人にもオススメな1本。
社会現象まで巻き起こした本作の大ヒットは、暗いニュースの多かった2018年の中で、実に愉快痛快でした。

「ウインド・リバー」 監督:テイラー・シェリダン
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「スリービルボード」が無ければ、本作がベスト5に入ってました。映画版「ファーゴ」のような大雪原を舞台にした、現代の一種の西部劇。締まったストーリー展開に、寡黙な主演ジェレミー・レナーとの相性もバツグン。

次点クラス!

「ちはやふる 結び」
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これぞ日本が誇るべき、正統派スポ根/青春映画の会心作。注目若手俳優が集結したキャスト陣も最高。

「ダウンサイズ」
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極めてユニークな設定のヒューマン系SF映画。最終的な着地点も本当にユニーク。

「ネルーダ 大いなる愛の逃亡者」
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自由を愛する詩人と国家権力の犬、追われる男と追う男。二つの対照的な魂の間に生まれる微かな共鳴。こんな良質のラテン映画がこれからもどんどん日本で公開してもらいたい。

「ボヘミアンラブソディ」
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天才の光と影、という古典的なモチーフ、プラス、ライブシーンで押し寄せる感動と鳥肌。
それにしてもクイーンの楽曲の日本人への浸透具合は改めて凄いなあと思ったりもした。

「彼が愛したケーキ職人」
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イスラエル発の大人のラブストーリー。民族的遺恨やジェンダーの溝を埋めるために、一体何が必要なのか、その案外シンプルな答えを本作は静かに提示する。


他には、
日本映画では「坂道のアポロン」「恋は雨上がりのように」「霊的ボリシェヴィキ」「海を駆ける」「万引き家族」「きみの鳥は歌える」「泣き虫しょったんの奇跡」「SOUNDS LIKE SHIT the story of Hi-STANDARD」

外国映画では「ジュピターズ・ムーン」「レディプレイヤーワン」「さよなら、僕のマンハッタン」「アヴェンジャーズ インフィニティ・ウォー」「ブリグズビー・ベア」「ランペイジ巨獣大乱闘」「ミッションインポッシブル/フォールアウト」「ボルグ/マッケンロー」「ライ麦畑で出会ったら」「テルマ」「メアリーの総て」などなど。

2018年も割と洋・邦両方で豊作の一年でした。
MARVELものは割と飽き飽きしてたんだけど、今回のアヴェンジャーズは本当にワクワクでした。そしてトム・クルーズ。彼にはもはやリスペクトの念しか起こらない。
一方で、アジア映画は、今年はさほど、って感じでした。韓国の社会派力作(タクシー運転手とか、1987とか)には唸りましたけど。個人的には中南米映画に当たりが多くて、これからも楽しみです。

俳優部門では、男性では「寝ても覚めても」東出昌大。彼の演技は個性的で、その個性というか素材を生かした作品にも非常に恵まれている印象。「寄生獣」とか「散歩する侵略者 予兆」とか。「寝ても覚めても」はその究極で、異星人っぽいイケメン/朴訥なイケメンの両方がどハマリ。

他には、「アイ、トーニャ」のちんちくりんを演じたポール・ウォーター・ハウザー。そして言わずと知れた、ドウェイン・ジョンソン、トム・クルーズ。この二人は今年に限った話ではないが。
「ボルグ/マッケンロー」のシャイア・ラブーフも素晴らしかった。

女優さんでは「アイ、トーニャ」のマーゴット・ロビー。主演だけでなくプロデュースもこなし、この作品にまさしく全身全霊を傾けているのが伝わってきた。欠点の多いヒロインに思わず共感してしまったのも彼女の人物造形ゆえだったと思う。

他には「坂道のアポロン」「恋は雨上がりのように」「来る」どれもが好演の小松菜奈。
それと、「ナチュラルウーマン」ダニエラ・ベガ。

次はマイベストアルバムのブログに取り掛かりたい。できれば休みのうちに。


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2017年 映画ベスト10 + α [映画 年間ベスト]

2017年、ブログを更新する時間(というより気力)はなくても、阿呆みたいに映画を観る時間はしっかりと確保。だがしかし、例年に比べて、何と言うか安打率は悪かった気がする。

例年、ベスト20以上を勝手に発表しておりますが、今年はベスト10+α。
1位から5位までは順番に、6位以降は見たもん順で。

1位 「ダンケルク」 監督:クリストファー・ノーラン
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とにかく、その圧倒的な疑似体験性が、映画体験として強烈。IMAXで鑑賞して正解。
爆撃や沈没の恐怖をひたすら味わい続けながら、戦場の人間ドラマとしても見応え抜群で、3つのストーリーラインを敢えて同時進行させるトリッキーな構成にも、最後はほぉ?と感心。

2位 「ムーンライト」 監督:バリー・ジェンキンス
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麻薬と貧困と暴力、或いはマイノリティの生き辛さという過酷な現実を描きつつも、この映画は、繊細な映像美に彩られた青春映画であり、闇夜を照らす月の光に祝福された人生賛歌。

3位 「あゝ、荒野 前篇」 監督:岸善幸
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まさにこれは現代版あしたのジョーですな。
他の演者も良いのですが、とにかく菅田将暉に目が奪われ続ける。
(後編は、遅刻して最初の10分間を見逃してしまうという失態を演じてしまった。よって?選外。)

4位 「マンチェスター・バイ・ザ・シー」 監督:ケナス・ロナーガン
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心に深い傷を抱えた男の帰郷を描くヒューマンドラマ。胸をえぐられるような悲劇を物語の核に配置しつつも、どこかオフビートで肩の力が抜けたストーリーテリングが秀逸だし、主人公と対照的な若者を主人公の隣に配したことも効果抜群。映像感も大好き。

5位 「沈黙 サイレンス」 監督:マーティン・スコセッシ
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これもやはり映像体験としての圧倒感。身と心の両方を削るような俳優たちの演技にも心奪われる。
日本の時代劇を、ここまで真っ当に映像化してみせたスコセッシ監督って、やっぱり凄いなあ?、と。


以下、6位から10位まではランクづけではなくて、見たもん順で挙げていきます。

「バード・ショット」(大阪アジアン映画祭にて) 監督:ミカイル・レッド
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フィリピン発、傑作フィルムノワール。絶滅危惧種の鳥類が飛来する禁猟区域で禁を犯してしまった少女と、公権力の腐敗に徐々に蝕まれていく新米警官、この二人の主人公の運命の交錯。

「3月のライオン 前編」 監督:大友啓史
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実は後編では失速感を感じてしまったのですが・・・。前編を観た直後は興奮冷めやらず、でした。
将棋バトルロワイヤルな俳優たちの鬼気迫る熱演に思わず大満足。

「パーソナル・ショッパー」 監督・オリヴィエ・アサイヤス
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本年度のもう1回観たい映画部門ナンバーワン。オリヴィエ・アサイヤス流の黒沢清的ゴーストストーリー、しかしジャンルの越境感覚はまさに匠の円熟。スリリングな映画体験。

「ベイビー・ドライバー」 監督:エドガー・ライト
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冒頭5分のジョンスペ使いだけで、この映画は、間違いなくマスターピース認定です。

「彼女がその名を知らない鳥たち」 監督:白石和彌
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稀有な映像体験。
蒼井優も、彼女を取り巻く3人の男性俳優も、愛の不条理をテーマとしてストーリーも、とにかく素晴らしかった。

次点クラスとして、いくつか。今年は邦画ばかりになってしまった。

「美しい星」 監督:吉田大八
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リリー・フランキーが可笑しすぎます。

「ヘッド・ショット」 監督:ティモ・ジャイアント&キモ・スタンボエル
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ストイックなバトルがアツかった。シンプルだけど燃える!

「獣道」 監督:内田英治
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地方都市の闇をこれほどポップな形で描いた作品を私は知らない。

「恋とさよならとハワイ」 監督:まつむらしんご
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別れても同棲継続中の若いカップルの物語。今年一番のみっけもん。主演の女優さんがとてもいい。

「勝手にふるえてろ」 監督:大九明子
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強烈こじらせ女子を演じる松岡茉優がチャーミングすぎます。

2017年はその前の年と同様、邦画多め。
そういや外国映画のロードショー公開本数が、徐々に少なくなってきているような気がするのですが、どうなんでしょうか。昨今の日本の内向き傾向の表れ?

というわけで、邦画では、上記以外では
「彼らが本気で編む時は、」「愚行録」「チアダン」「夜空はいつでも最高密度の青色だ」「散歩する侵略者」「パーフェクトレボリューション」「ミックス。」「月と雪」「火花」などなど。レベル高い。

洋画では、「わたしは、ダニエルブレイク」「ELLE」「ゲット・アウト」「ドリーム」「キングコング髑髏島の巨神」など。
「ゲット・アウト」のB級感覚は大好き。「ムーンライト」「ゲット・アウト」「ドリーム」は3本立てで観たい。バーホーベン監督のサスペンス「ELLE」は、バイオレンス映画としても強烈。一方でケン・ローチ監督「わたしは、ダニエル・ブレイク」の真摯な告発には、ストレートに感動した。「キングコング」は映画マニアからそうでない人たちまで万人にオススメできるハイレベル娯楽大作。

ハリウッドから続々と押し寄せるシリーズ続編もの、今年は良作が多かったと思う。特に「ブレードランナー2049」「スターウォーズ 最後のジェダイ」の2作品。「ブレードランナー2049」と同じ監督つながりで、「メッセージ」については、途中までは年間ベストワン級だと思いながら観てました(ラストがちょっと・・・)。まあでも、改めてドゥニ・ヴィルヌーヴの映画監督としての資質には感心。独自のヴィジョンを持っている、というか。

スーパーヒーローものについては食傷気味なんですが、「マイティーソー バトルロワイヤル」は軽いギャグ路線に路線変更していて、気楽なノリに好印象でした。もう地球を(というかアメリカを)救わなくていいから! 

ヨーロッパ映画では、セルビア内戦をテーマに、3つの時制の互いに独立した物語を同じ俳優達が演じるという技巧性が見事だった「灼熱」。それと、グルジア内戦をテーマに、シンプルな寓話設定で戦争の愚かしさを描き切った「みかんの丘」(グルジア映画)。この2本のヨーロッパ辺境映画が素晴らしかった。両方とも内戦がテーマというのが考えさせられる訳ですが・・・。

一方、アジア映画、なかなかフィット作に当たらず。そんななかで、大阪アジアン映画祭で観た「29+1」はかなりのヒット。あとパク・チャヌク監督「お嬢さん」も面白かった。あ!むかし大阪アジアン映画祭で観た台湾映画「星空」がついに日本でも一般公開!観たらやっぱり傑作でした。

忘れてた! ヤスミン・アフマド監督の遺作「タレンタイム」は全地球人が観るべき傑作!! ある意味、どんな宗教の聖典よりも神聖で崇高な映画。この人の特集上映をやってほしい。


さて俳優部門。
男性部門は「あゝ、荒野」菅田将暉。もはや役者として本格覚醒であり、「帝一の國」「火花」も素晴らしかった。
2017年、テレビドラマは高橋一生の1年でしたが、映画はこの人でしょう。

他には、ライアン・ゴズリング(「LA LA LAND」「ブレードランナー2049」「ナイスガイズ!」)、アダム・ドライバー(「沈黙」「パターソン」「ローガン・ラッキー」「SW8」)、リリー・フランキー(「美しい星」「パーフェクトレボリューション」)、阿部サダヲ(「彼女がその名を知らない鳥たち」)

女性部門は「ELLE」イザベル・ユペール。既に世界的な大御所女優なのに、こんな問題作のこんな過激なヒロイン役に挑むのがスゴイ。

他には、クリスティン・スチュワート(「パーソナルショッパー」「カフェ・ソサエティ」)、松岡茉優(「勝手にふるえてろ」)。

さて、年の瀬に発表された、京都みなみ会館の3月末閉館予告は、心底残念なニュースだった。好きだったバンドが解散発表した時のような感じである。

そんななか、神戸三宮まで出かけて、「ハッピーアワー」で2017年の映画納め。2回目の鑑賞だったのだが、前回観てから1年半以上経過しているため、いいカンジで細部を忘れており、しかし物語の骨子は覚えているので伏線や象徴がクリアに理解でき、映画の舞台である神戸でこの映画を観るという半ば自己満足、そして終演後の大人数での和気藹々とした(そして監督による説明が結構ディープな)舞台挨拶も含めて、心から満足のいく映画納めだった。

今年も良い映画にたくさん出会いたい。

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2016年 映画ベスト20 + α [映画 年間ベスト]

ついにブログ更新が完全にストップしてしまった2016年。

家族の問題という事情が実はあったりしたのですが、それでも映画を観る本数、観に行くライブの本数等はそんなに減っておらず、まあ多少は減ってますが・・・例年同様、映画や音楽等で感動の多かった一年ではありました。しかしそれにブログが全然追い付かなくなってしまい、つまるところは時間不足と文章力不足。それが全てなのでした。

散々サボっておきながら、ちゃっかり年間ベストでブログ更新。モチベーション高め。

まずは1位から5位まで。

1位 「リップヴァンウィンクルの花嫁」 監督:岩井俊二
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SNS時代をあやふやに生きる、未熟で普通の女の子。天国と地獄を味わう彼女の一種の冒険行。
これは圧巻の3時間。今年は邦画がベストワン級続出の大豊作でしたが、中でもコレは私の中で頭一つ抜きん出ていました。
特筆すべきは黒木華と綾野剛。

2位 「レヴェナント 蘇りし者」 監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
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この監督、私はニガテだったんですが、本作の骨太な世界観にはすっかりヤラれました。
毛皮貿易全盛期の開拓期アメリカ。雪に覆われた大森林の中で、瀕死の男が復讐の一念だけでまさに “蘇る” 。
凍てつく大自然の圧倒と、復讐を基調とした西部劇の伝統と、不意にインサートされるネイティブ・アメリカンの霊性、そして・・・クマ!!! 

3位 「この世界の片隅に」 監督:片渕須直
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いま想い出しても胸が張り裂けそうになる。
世界中の人に観てもらいたい戦争映画の傑作。のんのハマり具合は奇跡的であり、それと、この映画が口コミで大ヒットにつながった現象に、大きな希望を感じた。

4位 「師父」(大阪アジアン映画祭2016) 監督:シュー・ハオフェン
(「ファイナルマスター」という邦題でDVD化されました)
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2016年、大阪アジアン映画祭は、私は2本しか観に行くことが出来なかった。そのうちの1本。
これは、中国武闘映画(クンフー映画含む)の人生ベスト1に輝きました。余りにも素晴らしい。終盤のひたすら静寂さが支配するバトルがスーパークール、そこに到るまでのストーリーも素晴らしい。ストイックなラブの要素も、ちょうど良い塩梅で。
こんな傑作を、なんで劇場公開しないの??? これが1位でも良かったくらい。

5位 「LIVE! LOVE! SING! 生きて愛して歌うこと 劇場版」 監督:井上剛
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阪神大震災の記憶と、東日本大震災/フクシマのいまを繋ぐ青春ロードムービー。
ゴーストタウンと化した故郷を旅する若者たちの姿を通して、被災地の今の風景を映画は巡礼する。過去の記憶への眼差しは鎮魂の祈りと重なり合い、そして未来へとつながって行く。

2位から5位まで、本当に、甲乙付け難し。

6位以下は順不同。観たもん順。
「消えた声が、その名を呼ぶ」 監督:ファティ・アキン
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アルメニア人が経験したジェノサイドと、その後の民族的流浪を、一人の男に託したロードムービー。
喉を切られ、故郷と家族から切り離されてしまった男が、家族の消息を追いかけて世界を流浪していく。原題「The Cut」がまさにジャスト。

「ハッピーアワー」 監督:濱口竜介
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有名俳優のネームバリューに頼った映画に対するアンチテーゼ。いやそんな事よりもともかく、この濃厚かつ親密な5時間強の映画体験の至福。

「海よりもまだ深く」 監督:是枝裕和
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名作「歩いても歩いても」と同様の、スルメの様に噛めば噛むほど味が出る、ユニークで愛すべき家族の物語。阿部寛の愛すべきダメ男っぷりは鉄板。

「お父さんと伊藤さん」 監督:タナダユキ
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小さなアパートで50代のフリーターおじさんと同棲する、フリーターのアラサー女子。そんな彼女の元に、堅物の老いた父が転がり込み、奇妙な3人生活が始まる。
上野樹里、リリーフランキー、藤竜也。この3人のアンサンブルが本当に魅力的な、ユニークで愛すべき家族の物語。(しまった、上とかぶった。)

「シン・ゴジラ」 総監督:庵野秀明
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公開当時に観てますが、年末に再見し、その結果、他の強豪作品を押し退ける形でベスト10圏内に土壇場でジャンプアップ。
ユーモアと風刺性、震災映画としてのアクチュアリティの高さ、そして何より、光線を吐きまくる本格覚醒シーンの凄まじい破壊力。スクリーンで観ないと、これは。

改めて、日本映画強し。例年になく日本映画で占められてしまったマイベスト10でした。

以下は20位まで。これも観た順で。ちなみにこの中で11位は「アンジェリカの微笑み」か、「永い言い訳」。

「アンジェリカの微笑み」 監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
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巨匠が見たうたかたの夢を映像化。珠玉の幻想恋愛譚。

「ブリッジ・オブ・スパイ」 監督:スティーヴン・スピルバーグ
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クラシックな風格とハリウッドの矜持が香るスパイサスペンスの傑作。

「最愛の子」 監督:ピーター・チャン
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引き裂かれた親子の絆をテーマにしたストーリーテリング、その半端ない完成度の高さ。
そしてそれ以上に、エモーションを揺さぶる俳優達の熱演。

「俳優 亀岡拓次」 監督:横浜聡子
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フラフラと、現場から現場へと渡り歩いていく一人の役者の描き方が、まるで良質のロードムービーのよう。安田顕は本当に巧いですね。

「ヘイトフル・エイト」 監督:クエンティン・タランティーノ
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セリフの応酬と血生臭いバイオレンスでアメリカのダークな歴史を語る。この分野で最早タランティーノの右に出る者はいない。

「エスコバル 楽園の掟」 監督:アンドレア・ディ・ステファノ
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度を越した残忍さが常に全開(そして常に麻薬絡み)の中南米ノワール、その真打ち的作品。デル・トロがハマりすぎ。

「山河ノスタルジア」 監督:ジャ・ジャンクー
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ダイナミックに変化していく中国人社会を、3つの時制を飛び越えながら語っていく、静かに胸を撃つメロドラマ。

「AMY エイミー」 監督:アシフ・カパディア
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今年の音楽映画のなかでピカイチのドキュメンタリー。エモーショナル。音楽も最高だった。

「永い言い訳」 監督:西川美和
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これぞ西川監督、な、最低男の再生の物語。人物造形の容赦の無さ、絶妙さと意外性のキャスティング・・・それらもまさに西川美和。

「手紙は憶えている」 監督:アトム・エゴヤン
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認知症の老人がナチハントの旅に出るという異色のサスペンス・ロードムービー。途中で出会う人たちの中に、一人、キョーレツな人がいます。

次点
「ストレイト・アウタ・コンプトン」
「君の名は。」
「オーバーフェンス」

他にも、実力者/新鋭による充実作品が相次いだ、百花繚乱状態の2016年の日本映画。
「ディアーディアー」「ローリング」(←共に2015年の作品ですが) 
コミック原作の映画化にしては、映画として高い完成度の、「ちはやふる(2部作)」「アイ アム ア ヒーロー」「ヒメアノ〜ル」

海外映画では
「ディーパンの戦い」「キャロル」「スティーブ・ジョブス」「リリーのすべて」「探偵なふたり」「ボーダーライン」「教授のおかしな妄想殺人」「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」「ローグ・ワン」

近年稀に見るアニメーションの当たり年でしたが、上に挙げた作品以外では、
「ソング・オブ・ザ・シー」「レッドタートル」「聲の形」

俳優部門。
男性俳優は出ずっぱりな感じの池松壮亮。
出ずっぱりと言えば、リリーフランキー、菅田将暉も。
それと「エスコバル」「ボーダーライン」ベニチオ・デル・トロ、「リリーのすべて」「ファンタスティックビースト」エディ・レッドメイン、「ブリッジ・オブ・スパイ」マーク・ライアンス。

女優は黒木華。「リップヴァンウィンクル」だけでなく、「母と暮せば」「永い言い訳」それにドラマの「重版出来!」「真田丸」などなど、作品によって印象がまるで違う。変幻自在。
あとは、「キャロル」のケイト・ブランシェット、「この世界の片隅に」のん。

今年の映画界のビッグトピックは、何と言っても「君の名は。」「シン・ゴジラ」「この世界の片隅に」の日本映画3作品の爆発的大ヒット。これほど一種の “現象” と化したのは、おそらく「アナ雪」以来ではないでしょうか。
この3作品に共通しているのは、東日本大震災の記憶が色濃く作品の中に投影されている点(中でも「君の名は。」と「シン・ゴジラ」)。
私達日本人の認識と感性は、3.11以降、大きく変わってしまった。そうして5年経って、優れたクリエイターによって映画の中で形を変えて表現されたあの時の光景に対して、数多くの人達が強く反応し、そしてそれがSNSとして草の根的に発信された結果としての、この3作品の大ヒットではないだろうか、と思います。

あ、屈指のオモロ映画として、次の作品も追加させて下さい。
「世界の果てまでヒャッハー!」「貞子 vs 伽倻子」



2015年 映画ベスト20 [映画 年間ベスト]

2015年に観た映画の個人的ベスト。

2015年は、2013年や2014年ほどではなかったけど、良い映画にたくさん出会えたことに感謝。

1位 「大河の抱擁」(京都ヒストリカ映画祭2015より) 監督:チロ・ゲーラ
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深夜のオールナイト、寝ぼけ眼で出会ってしまった白黒のマジックレアリスム。
2つの時制を行き来しつつ、アマゾン川流域の密林の中へ、失われた時間と記憶の中へ。
旅のガイドはオカッパでほぼ全裸の呪術師。怒りんぼさんだけど、とても哀しそうな目をしている。
クライマックスでぶっとびました。


2位 「セッション」 監督:デミアン・チャゼル
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個人的評価とやらで当時私は4.5点を付けたのですが(5点満点でなく)、その後もう1回観て、年間2位にしました。
豊作の今年の音楽映画の中でも、ひときわ強烈な一本。
人格破綻者のグルの導きの先には、音楽の狂気という荒野が口を開けて待っている。かつてジャズとは、闘いの音楽ではなかったか。光と影のスタイリッシュな影像美も見事。


3位 「カプチーノはお熱いうちに」 監督:フェルザン・オズペテク
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風光明媚なイタリア南部の町レッチェが舞台の、野生味あふれる恋愛映画。と見せかけておいて。
魅力的なキャラクター達の群像によって織り成されるスイートビターな人生賛歌であり、映画ならではのマジックなストーリーテリングの妙で、時間と運命が交錯する奇跡的な瞬間がこの映画にはある。


4位 「幕が上がる」監督:本広克行
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演劇部の部活動に打ち込む女子高生たちの群像を描いた、王道のアイドル映画にして、正真正銘の青春映画の傑作。
銀河鉄道の夜も映画にバッチリはまっていた。


5位 「草原の実験」 監督:アレクサンドル・コット
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中央アジアの草原を舞台にした、極上の映像詩。
ため息が出るほどの美しい映像美とともに、草原とともに生きる人々の生と死の営み、そこに宿る普遍性と神話性。そしてこの映画でもクライマックスで完全にぶっとびました。


そして、6位から10位は順不同。
「アメリカン・スナイパー」 監督:クリント・イーストウッド
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現代のアメリカンカウボーイのポートレイト。素朴な愛国心によって出征していった彼らソルジャーたちの疲弊に、黙祷を捧げる老カウボーイ=イーストウッド爺。


「二重生活」 監督:ロウ・イエ
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現代中国社会の諸社会問題を反映しつつ、モダンでスタイリッシュな映像センスと、乾いた語り口でグイグイと引き込まれてしまう、洗練のミステリーサスペンス。


「チョコリエッタ」 監督:風間志織
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フェリーニ「道」へのオマージュに溢れた青春ロードムービーは、同時に、震災後の圏内の風景からイマジネーションの世界に越境していく。


「ルック・オブ・サイレンス」 監督:ジョシュア・オッペンハイマー
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「アクト・オブ・キリング」とともに、ドキュメンタリーの地平を勇敢に拡張する驚異の1本。
カメラの前でかつての殺戮者たちに向けられる、被害者遺族の静かで強い眼差し。暴力とは何か、人間の悪と何か、というテーマに対する、冷徹でスリリングなフィールドワーク。


「お盆の弟」 監督:大崎章
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イイ奴なんだが中途半端な夢見中年男を、渋川清彦が好演。周囲の群像も魅力的な、リアル中年向け青春映画。白黒にしたことで、タイムレスな仕上がりに。日本の夏の匂いが白黒のスクリーンに充満している。


以下、次点クラス・・・。
「はじまりのうた」 監督 : ジョン・カーニー
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正統派のインディ音楽礼賛映画。音楽が最高。

「おんなのこきらい」 監督 : 加藤綾佳
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毒々ガーリームービーと見せかけておいて、後半の展開と着地点がエモーショナルで突き刺さる。

「海街diary」  監督 : 是枝裕和
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4姉妹のキャスティングが抜群なのと、原作のテイストを損なうことなく映画化してくれて有難う。

「ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男」  監督 : テイト・テイラー
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今年のブラックムービーNo.1。困ったちゃんの一生だけど、ソウルのデカさはこの映画の熱さで十二分に伝わる。

「インヒアレント・ヴァイス」 監督 : ポール・トーマス・アンダーソン
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エンド・オブ・サマー的西海岸テイストでキマッた、ブッとび探偵物語。オープニングのCANの曲が最高。

「ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション」 監督 : クリストファー・マッカリー
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トム・クルーズが最高。

「夏をゆく人々」 監督 : アリーチェ・ロルヴァケル
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ため息が出るほど見事な終盤が魔法のよう。これぞ映画!って感じだす。

「ピース・オブ・ケイク」 監督:田口トモロヲ
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多部ちゃんグッジョブ! 日本の恋愛映画の新たな定番。

「エール!」 監督 : エリック・ラルティゴー
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とびきり可笑しくて、そして、ラストのド直球な感動で全て持ってかれてしまう。

なんとなく、夏感強めの映画が多い、今年のセレクトとなりました。


それ以外。
今年は特に豊作だった邦画では、
「百円の恋」、アニメの「百日紅」「花とアリス殺人事件」も。

そして今年は音楽映画の年。上に挙げた以外では、
「GOD HELP THE GIRL」「EDEN」など。

アクション/バイオレンス系では
「ナイトクローラー」「アントマン」、それにインド発の驚異のエンタメムービー「女神は二度微笑む」
「クリード チャンプを継ぐ男」もアツくて良かった。

他に、アジア圏から「犬どろぼう完全計画」、「薄氷の殺人」が、もう一度観たい映画。

次、俳優部門。
まず男性俳優では、トム・クルーズ!
やり過ぎだと思う。

トム様とどちらにしようか迷ったのが、「セッション」「Re:Life」のJ. K. シモンズ。
あとは、「セッション」マイルズ・テラー。「お盆の弟」「ソレダケ」渋川清彦。

女性部門は、丸刈姿がオトコマエすぎ!!!
「マッド・マックス 怒りのデスロード」シャーリーズ・セロン。まあ、異議なしでしょう。

次点として森川葵。「チョコリエッタ」「おんなのこきらい」での捨て身で映画にぶつかっていく感覚。それとこの娘も丸刈りです。
あとは、「百円の恋」安藤サクラ。彼女のどの映画でもそうですが、特に今作は独特の凄みを感じました。
それと、「はじまりのうた」でのギター女子っぷりが(それと美声も)素敵すぎたキーラ・ナイトレイ。


2014年 映画 マイベスト20 [映画 年間ベスト]

2014年に映画館で観た映画の中から個人的ベスト選出。

2014年も豊作の一年。
特に目立ったのは、邦画、なかでも青春映画系、それと韓国発バイオレンス/サスペンス系の充実。
ハリウッドからも個性的な傑作が続出し、ヨーロッパ圏も相変わらず面白い映画が続々。
それと、ジャン=マルク・ヴァレやグザヴィエ・ドランを始めとする、カナダのフランス語圏出身の映画監督も面白いなあ、と思った。

例年同様、順位付けは迷った。1位から3位までは割とスンナリと「この3作品かなぁ・・・」という感じだったのですが、それ以外は、結局、4位から15位までは全くの横並び状態。
無理やり10位とそれ以下に分けました。そして、4位~10位まで並列的に(大体観たもん順で)並べた。

1位「ダラス・バイヤーズ・クラブ」
監督 ジャン・マルク=ヴァレ
出演 マシュー・マコノヒー、ジャレッド・レト
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魂を震わせる傑作。常套句ですが、この映画はまさにそんな感じでした。
アメリカ南部の乾いた風土を背景にした、HIVに感染したクズ男の物語。
マシュー・マコノヒーとジャレッド・レト、二人の渾身の演技。

2位 「誰よりも狙われた男」
監督 アントン・コービン
出演 フィリップ・シーモア・ホフマン、レイチェル・マクアダムス
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徹底的にハードボイルドにインテリジェンスの冷酷な現実を描き切った、国際諜報サスペンス映画の傑作。
重い余韻と共に、名優フィリップ・シーモア・ホフマンに惜別の拍手を!!

3位 「紙の月」
監督 吉田大八
出演 宮沢りえ、池松壮亮、小林聡美
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横領に手を染め、徐々に道を踏み外していく普通の主婦の転落を描く犯罪サスペンス。その愚かしい墜落の加速と共に彼女が獲得して行く自由と美しさ。クール&エモーショナル!

以下は4位から10位まで観たもん順。

「新しき世界」
監督 パク・フンジョン
出演 イ・ジョンジェ、チェ・ミンシク、ファン・ジョンミン
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韓国発、ノワール・ギャング映画の新たな傑作。
正義と友情、善と悪の狭間でゆれ続ける一人の潜入捜査官と、その周囲の男たちの、クールでハードボイルドな群像劇。たまらなく魅力的なキャラ設定と、抑制されているからこそ際立つ暴力性、そして諸行無常感バリバリのストーリー展開がヤバイ。

「ホビット 竜に奪われた王国」
監督 ピーター・ジャクソン
出演 マーティン・フリーマン、リチャード・アーミテージ、ベネディクト・カンバーバッチ
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3部作合わせ技で。
よく喋り、よく暴れる巨竜スマウグが最高なんですが、同時進行していく複数のストーリーラインとアクロバチックなアクション、活き活きと輝く何人かのキャラクターたち。勿体ぶった冥王の降臨も見逃し厳禁であります!

「大人ドロップ」
監督 飯塚健
出演 池松壮亮、橋本愛
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主演の若手俳優4人のナイスな好演が光る、文系ダメ男子目線の青春映画。歯痒さと恥ずかしさでムズムズしっぱなし。青春とは、終わってしまうもの、故に、どうしようもなくカッコ悪くて眩しいもの、なんですね。

「監視者たち」
監督 チョ・ウィソク
出演 ソル・ギョング、チョン・ウソン、ハン・ヒョジュ
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香港映画の韓国リメイクですが、オリジナルに全然負けてない、異色の刑事サスペンス。
尾行と張り込みに特化することによる抜群の面白さ、ストーリーやカメラのテンポ感と魅力的なキャラ造形も。

「福福荘の福ちゃん」
監督 藤田容介
出演 大島美幸、水川あさみ
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大島美幸が、凧揚げが趣味のオッサンを演じたハートフル・コメディ。
主人公の周囲のキャラが面白すぎ。そんな彼らが不意に放つペーソス。実は今年の裏ベスト1。

「物語る私たち」
監督 サラ・ポーリー
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ポーリー家総出演の家族ドキュメンタリーは、フィクション以上にドラマチックな愛と家族の物語にして、ウェルメイドな探偵物語。胸いっぱい!

「ゴーン・ガール」
監督 デビッド・フィンチャー
出演 ベン・アフレック、ロザムンド・パイク
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間違いなく、今年を代表する超一級のサスペンス。主演2人のベストパフォーマンス、そしてデビッド・フィンチャーの卓越したストーリーテラー・センス。このラストはたぶん一番怖い。

そして惜しくも選外、なんですが、上の10作品と何ら遜色なし!な、11位~15位。これも並列で、観たもん順。
「神様のカルテ2」
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「ほとりの朔子」
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「観相師」
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「プロミスト・ランド」
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「イーダ」
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さらに挙げておきたい作品として、16位~20位。

「花の咲かない果実」(マカオ映画祭)
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「罪の手ざわり」
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「GF*BF」
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「ヴィクとフロ 熊に会う」
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「インターステラー」
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次点

「リアリティのダンス」
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「毛皮のヴィーナス」
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これ以外では、
大充実の日本映画の中から
「ゆるせない、逢いたい」「あかぼし」「ニシノユキヒコの恋と冒険」「Wood Job! 神去なあなあ日常」「寄生獣Part1」「超能力研究部の3人」。

同じく大充実の韓国映画から
「レッドファミリー」「サスペクト 哀しき容疑者」「悪魔は誰だ」。

他にも
「リスボンに誘われて」「Living Is Easy with Eyes Closed (ラテンビート映画祭)」
「her/世界でひとつの彼女」などなど。

さて俳優部門。

女優さんでは、「紙の月」の宮沢りえ。
僅差の次点は、「ゴーン・ガール」で完全に度肝を抜かれたロザムンド・パイクを。

ほかには、「her」の声だけ、片や「キャプテン・アメリカ」「LUCY」とますます自由な(「アンダー・ザ・スキン」とかも)感じのスカーレット・ヨハンソン。
「ほとりの朔子」「私の男」「渇き。」ほか、テレビドラマも含め、強い存在感の二階堂ふみ。
「her」「アメリカン・ハッスル」と安定感抜群のエイミー・アダムス。

男性俳優では、「ダラス・バイヤーズ・クラブ」「インターステラー」「MUD」「ウルフ・オブ・ウォールストリート」と去年/今年を代表するハリウッド・アクターとなった、マシュー・マコノヒー。
僅差の次点が二人。
「誰よりも狙われた男」フィリップ・シーモア・ホフマン。
「新しき世界」「観相師」で鮮烈なイ・ジョンジェ。

ほかには、「愛の渦」「大人ドロップ」「ぼくたちの家族」「紙の月」ほか、テレビドラマも含めて大活躍の池松壮亮。
そして「プロミスト・ランド」(アレも)マット・デイモン。

「ホビット」シリーズの巨竜スマウグと「アナと雪の女王」オラフも挙げさせて頂きたいと思います!
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