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2013年 映画 マイベスト20  [映画 年間ベスト]

スペイン旅行の記録はひとまず後回しで(というか、まあ割とどうでもいいブログなので、もう書かない可能性も)、2013年の映画マイベスト10。

ええっと、個人的に、今までの中で最も豊作な一年でした。より正確に言えば、単純に、年内に観た本数が一番多かった年でした。
逆に、この1本!(或いはベスト3!)というのが、どうしても選べず、と言うより、ベスト10すら絞りこめない有様。
よって、ベスト20(+α、次点とかそういうの)にします。

もちろん言うまでもなく、極めて独断と偏見によります。

20本も選ぶと、選りすぐりのベスト10よりも、どうしても散漫な感じになってしまうのは承知の上。
だけど、例年のベスト10クラスが、今年は20本以上で、そこから10本に絞り込むのは何だか勿体ない、というか、あきらめました。

2011年と2012年は、1位、2位、3位、4位以下は10位まで順不同、という形を取ってました。
今年は、1位〜5位、6位〜10位(順不同)、11位〜20位(順不同)、次点クラス、とグループ分けにします。まあ、どうでもいいんですが。

1位 「ゼロ・グラビティ」
監督 アルフォンソ・キュアロン
出演 サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー
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SF映画の新たな金字塔。
驚異の圧倒的映像体験。
そしてそれ以上に、ベテラン俳優2人の迫真の演技力と、哲学性と象徴性を内包し、シンプルであるが故に強い強度を持ち得た圧巻のストーリーに、猛烈に感動。
大気圏外の無重力空間における、宇宙飛行士の決死のサバイバル劇は、優れたSFがほぼ全てそうであるように、人間という存在そのものへの視点にダイナミックに帰結する。

2位「ゼロ・ダーク・サーティ」
監督 キャスリン・ビグロー
出演 ジェシカ・チャスティン、ジェイソン・クラーク、ジョエル・エドガートン
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ビンラディンの探索に従事する女性CIA職員の奮闘を、ジェシカ・チャスティンが熱演。主人公の正義感と使命感は、狂気めいた執念へと変質し、やがて、彼女の奮闘は、深夜のビンラディン襲撃劇へと結実する。
この映画を貫いている強いストレスと重い緊迫感は、”アメリカの正義”とやらの深い苦悩と、今も地球の裏側で進行している世界の分断そのものを描いていると思う。

3位 「ブランカニエベス」
監督 パブロ・ベルヘル
出演 マリベル・ベルドゥ、マカレナ・ガルシア
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白黒サイレントでモダンにアップデートされたフェアリーテール。闘牛とスパニッシュギターの熱情に彩られたスペイン版白雪姫。
白黒の映像の中に、生の煌めきや愛の記憶、どす黒い感情を封じ込めた、ビザールでノスタルジック、そして極めてエモーショナルな、宝石の様に何もかもが美しいダーク・ファンタジー。
観終わって頭をかすめたのは、同じくスペイン映画の「トーク・トゥ・ハー」。

4位 「ペコロスの母に会いに行く」
監督 森崎東
出演 岩松了、赤木春恵
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今年の日本映画ベストです。
長崎を舞台にした、認知症の老母と中年の息子の物語を、コメディとして描きながら、失われつつある老母の人生の記憶そのものをたどる時間旅行へと、夢の中へ連れて行くようにこの映画は飛翔する。
某邦画のように、スクリーンの中の登場人物達がめそめそ泣いたりしない。映画で感動する、って、そういうことじゃない気がする。
想像もつかないような地点に観ている人の心を突き動かしてしまうこと。それこそが、真に優れた映画なのだと思う。

5位 「ザ・マスター」
監督 ポール・トーマス・アンダーソン
出演 ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス
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新興カルト教団に舞い込んだ風来坊の男と、そのカルトのカリスマ教組の男。二人の男の、まさに、魂と魂の交錯を、第二次世界大戦直後のアメリカ社会の風景をバックに描く。
主演3人のアンサンブルが圧巻。そしてダイナミックで力強い、スクリーン映えするショットの数々に息を呑む。

6位~10位
並びは大体の見たもん順。

「毒戦 Drug War」(大阪アジアン映画祭)
監督 ジョニー・トー
出演 ルイス・クー、スン・ホンレイ
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それまでの香港から、中国本土に舞台を移しつつも、これぞ正統派ジョニー・トーな、ハードボイルド・バイオレンス・ムービー。
もうね、やり過ぎですよ、最高です。
スン・ホンレイ!

「最初の人間」
監督 ジャンニ・アメリオ
出演 ジャック・ガンブラン
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1950年代の対フランス独立運動に揺れるアルジェリアを、アルジェリアで生まれ育ったフランス人作家カミュの眼を通して、貧しかった彼の少年時代の回想シーンをフラッシュバックさせながら描く。
貧富/社会的身分の格差と深く結びついた西洋とイスラムとの対立を、かつての植民地政策の負の遺産として描きながらも、同時にこの映画は、貧しくも美しい家族の歴史を描く映画でもあります。
そして何と言っても、地中海世界の美しいランドスケープを捉えた映像美。スクリーンの向こうに、遠いアルジェリアの大地と海が広がっていました。

「ムーンライズ・キングダム」
監督 ウェス・アンダーソン
出演 ブルース・ウィルス、ビル・マーレイ、子役たち、他
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ニューイングランド地方の小さな島を舞台にした、12歳前後の少年と少女の駆け落ち逃避行と、それに振り回される周囲の大人たちのドタバタ劇。
とてもキュートなラブストーリーであり、頼りない大人達のペーソス漂う群像劇であり、ロードムービー的風景美の移り変わりと、映画全体を貫くレトロ・ポップな世界観は絶品で、何度でも観たい。
特にエドワード・ノートン、グッジョブ。

「許されざる者」
監督 李相日
出演 渡辺謙、佐藤浩市、柄本明
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イーストウッドの名作のリメイク。
昔気質の老ガンマンが己の意地を貫き通す西部劇を、明治開拓期の蝦夷地で、武士としての生き方を剥奪された男達が、それぞれの己の生き様を交錯させるサムライ・ストーリーに見事に転換。
俳優達の面構えが最高である。そして「The Master」同様、雄大で息を呑むほどのランドスケープの数々。それを映画館の暗闇、大きなスクリーンで体感するように観る歓び。

「クリスタル・フェアリー」(ラテンビート映画祭)
監督 セバスティアン・シルバ
出演 マイケル・セラ
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アメリカ若手俳優マイケル・セラ主演の、チリの新進気鋭の映画監督によるお気楽ロードムービー。
伝説のドラッグで至高のトリップ体験をする目的で旅に出る若者たちと、その旅に合流した1人の訳あり風ヒッピー女性。
今年はロードムービーが豊作で(上の「許されざる者」「ムーンライズ・キングダム」もロードムービー感覚が強いし、「ブランカニエベス」のロードムービー的瞬間も捨て難い魅力が)、特に、コレか、それとも「オン・ザ・ロード」か、で大いに迷ったんですが、お気楽な感じと、世界の果ての誰もいない浜辺に向かうというロードムービーの一つの定型がやっぱり心地良くて、こっちをベスト10に入れました。


という訳で、迷いに迷った挙句、1位は「ゼロ・グラビティ」に落ち着いたのですが、4位までは、同率1位でも良いです。更に言えば、ベスト5の5本、プラス、「許されざる者」を加えた6本は、どれがベスト1になっても構わないほど、自分の中で超お気に入りです。
というか、上の10作品全て超お気に入りです。

しかし、「毒戦」・・・。実は観た当時のブログで、4.5点を付けていたのですが、他の5点満点作品を差し置いてのベスト10入りである。
つくづく自分の中の、その時その時の評価基準の曖昧さを感じます。
でも・・・やっぱこの映画、最高じゃないですか! ロードショー公開が楽しみ。絶対に多くの人に観てもらいたい。出来れば、タランティーノ並みに日本での知名度が上がって欲しい。

以下、11位から20位までの10本(並びは大体の見たもん順)を。

「東ベルリンから来た女」
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「ライフ・オブ・パイ」
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「さよなら渓谷」
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「ローン・レンジャー」
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「オン・ザ・ロード」
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「地獄でなぜ悪い」
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「わたしはロランス」
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「ウォールフラワー」
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「ジ、エクストリーム、スキヤキ」
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「HOMESICK」
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他の人達の評価はどうあれ、この10作品も、自分にとってはどれも傑作と呼ぶに相応しい作品でした。
ちなみにこの中では「ライフ・オブ・パイ」が11位。これと、「許されざる者」以外の6位〜10位作品で、どれを落とすかで、相当迷った。
あと、「オン・ザ・ロード」「ウォールフラワー」「ジ、エクストリーム、スキヤキ」「HOMESICK」
も、是非ベスト10に入れたかった作品でありました。

そして次点クラス。
「菖蒲」
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「LOOPER」
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「ブッダ・マウンテン 希望と祈りの旅」
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「イノセント・ガーデン」
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「3人のアンヌ」
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「男として死ぬ」(2009年の映画だけど、日本初公開は今年だと思うので・・・)
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次点多すぎやなー。

他には、
アクション系の中では、
豪快な「ワイルド・スピード EURO MISSION」、マーク・ウォールバーグ主演の「ハード・ラッシュ」、タランティーノ系のB級カンフー傑作「アイアン・フィスト」。

ドラマ系としては
デンゼル・ワシントン「フライト」、大阪ヨーロッパ映画祭で観たセルビア映画「パレード」、異色バンパイア伝奇「ビザンチウム」、B.カンバーバッチ主演のロードムービー「僕が星になる前に」。

アジア映画では
「ザ・タワー 超高層ビル大火災」「殺人の告白」「HANA 奇跡の46日間」(韓国)
「誰もいない家」(キルギス、大阪アジアン映画祭)

日本映画では
「不気味なものの肌に触れる」「凶悪」「遺体 明日への十日間」

他にもあるんだけど、上にタイトルだけ挙げた映画でも、例年ならば、おそらくベスト10〜次点として挙げたくなってしまうレベルです。


さて俳優部門。

女優さんでは、「ゼロ・グラビティ」のサンドラ・ブロックで決まり!

次点では、「ゼロ・ダーク・サーティ」の狂気スレスレの演技が強烈だったジェシカ・シャスティン。

女優としての凄味&美貌、の2点で、「ブッダ・マウンテン」ファン・ビンビン、「さよなら渓谷」真木よう子(「そして父になる」も)、「君と歩く世界」マリオン・コティヤール。
また、「アルバート氏の人生」グレン・クローズには、すっかり持ってかれました。

「The Master」での静かな凄味に圧倒されたエイミー・アダムス(「マン・オブ・スティール」も)。「東ベルリンから来た女」ニーナ・ホス。「3人のアンヌ」のベテラン女優イザベル・ユペール(「愛、アムール」も)。
「イノセント・ガーデン」「アルバート氏の人生」「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」他のミア・ワシコウスカ、「ウォールフラワー」「ブリングリング」のエマ・ワトソン、この若手清純派の2人は、従来のイメージを打ち破ろうと果敢にチャレンジしている姿勢が、◎。
「毒戦」のクリスタル・ホアンには一目惚れでした。


男性の俳優。
トップは、「凶悪」「そして父になる」の2連発で、リリー・フランキー。

次点クラスでは、「毒戦」でルイス・クーを食ってしまったスン・ホンレイ、「ゼロ・グラビティ」ジョージ・クルーニー、「地獄でなぜ悪い」長谷川博己。
「ゼロ・ダーク・サーティ」「ホワイトハウス・ダウン」「欲望のバージニア」他の個性派俳優ジェイソン・クラークも、個人的には激押ししたい感じです。
「TED」「ハード・ラッシュ」「2 GUNS」など多作なマーク・ウォールバーグも絶好調ぶりをキープ。

他では、「わたしはロランス」メルヴィル・プボー。「フライト」「2 GUNS」デンゼル・ワシントン。「オン・ザ・ロード」ギャレッド・ヘドランド。「ジ、エクストリーム、スキヤキ」窪塚洋介。「ウォールフラワー」エズラ・ミラー。

「マジック・マイク」「ペーパー・ボーイ」「バーニー/みんなが愛した殺人者」と、今年は怪演で魅了してくれたマシュー・マコノヒーも、忘れる訳には参りません。
そうそう怪演と言えば、「リベラーチェ」マイケル・ダグラスも。

最後に特別枠で、もうすぐ還暦のブルース・ウィルスを。
「ダイ・ハード/ラストデイ」「RED 2」他で見せたアクション魂には、そりゃあスタント使っているでしょうけど、老いてますます盛んというか、リスペクト。それに加えて、タイムスリップ系名作SF「12モンキーズ」主演の彼を召喚した形の「LOOPER」には、すっかり興奮させられ、新境地「ムーンライズ・キングダム」の枯れっぷりも、味があって良かったです。
ただ、「ファイアー・ウィズ・ファイヤー」は、この役、別に彼でなくても・・・という感じでした。
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