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国際市場で逢いましょう [映画]

何と無く、韓国版「Always 三丁目の夕日」みたいな映画かなあ、と思って観に行ったら、違ってた。そんなもんじゃなかった。韓国の戦後史は、日本のそれとは根本的に全く異質なのであった。
それでもなお、民族的記憶をいちいち喚起していく映像とストーリー、その事によって国民的映画たらんと志向している点において、「Always」とこの映画は共通しているとも言える。
しかし、映画としてのスケールは全然違う。朝鮮戦争から軍事政権期を経て現代に至るまで、時系列にそってダイナミックに俯瞰していくコッチの方が、やっぱりおもろいな。

監督はユン・ジェギュンという人。韓国映画のヒットメイカーらしいけど、この人の映画を観たのは初めて。何もかもが王道で、冒頭で圧倒される戦争のパニックと破壊も、恋愛のロマンスと慎ましい幸福感も、そして紆余曲折の人生を経験していく主人公、その秘められた想いがエモーショナルに吐露されるシーンの強い感動も、映画監督としての着実な地力を感じた。小さくまとまることのないスケールの大きさと、ストーリーの太い流れと細い枝葉のどちらもケアしていく堅実さ、その両方。

主演はファン・ジョンミン、なんと言っても去年のマフィア映画「新しき世界」でのアニキっぷりは鮮烈で、ワタクシ完全に男惚れしましたよ。今回は、「新しき世界」の時とは一転してオーラをスイッチ・オフ。歴史の激動を生き抜いて今日の繁栄と平和を築き上げた理想的な一人の市民、という役に徹していて、そしてこれが、韓国の一つの国民的オヤジ像、という事になるのだろう。
それとこの映画のピカイチは、主役の親友役を演じるオ・ダルス。パク・チャヌク諸作品ですっかりこの個性的な顔を記憶に刷り込みされてしまったけど、今回も相変わらずイイ顔とイイ声してるぜ。顔だけでなくて、演技派なのもこの映画ではよく分かる。

後半以降、劇場内で鼻水をすする音があちこちから聞こえた。私もちょっとやられた。
韓国の一大現代史叙事詩。

個人的評価 4点/5点満点


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