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相棒 14シーズン 第4話 「ファンタスマゴリ」 [テレビドラマ]

フレッシュなイメージで、まるで杉下右京の歳の離れた弟のようだった三代目相棒の成宮君が、あのような非常に不可解な形で、相棒シリーズを"卒業"してしまい(流石にアレはちょっと)、今シーズンからは反町隆史が四代目相棒として、警察組織の人間ではなく、法務省からの出向エリートという設定で登場。この他省庁からの出向者という設定は、おそらくは今後に控えているであろう何らかの展開の布石ではなかろうか(今シーズンの最終回辺りでの)、とニラんでいるのだが、はたして。

反町氏の起用に対する賛否については、変わり者で結構お調子者というキャラ設定自体は彼にフィットしている気がするし、時々変なアメリカ人みたいなノリになるのも一種の味と好意的に見なせば、これはこれでいいんでは、と思っている。今回の人選に当たって、新鮮さの導入はおそらく必至だっただろうし、その点でもひとまずは成功していると思う。

さて、新シーズンとなって4話目の、岩松了と織本順吉をゲストに迎えた「ファンタスマゴリ」は、近年の相棒シリーズでは間違いなく1、2位を争う、稀に見る傑出した出来だった。キャスティングの本気度を裏切らない、本気のハードボイルド・ストーリーを堪能させてもらった。

まず何よりも、右京のかつての上司、今は裏稼業の自称金融コンサルタントを演じる岩松了。彼の演じたキャラクターの造形が本当に魅力的だった。清廉潔白を頑なに貫く右京とは、あらゆる意味で対照的な存在として描かれ、相棒シリーズの世界観を深化させる意味で今後準レギュラー化して欲しかったくらいである。

この岩松了が、不意に右京の前にふらりと登場する導入部。二人の会話から、この二人が過去に同じ部署に所属し巨悪を追っていたこと、しかしその巨悪である大物フィクサー(織本順吉)に手が届く寸前で重要参考人が自殺を遂げて捜査は暗礁に乗り上げてしまったこと、そしてその後、岩松了のキャラクターは癒着が露見して逮捕され警察をクビになったこと、などが語られていく。
早々に会話を切り上げようとする右京だったが、その自殺した参考人の娘が最近になって消息を絶った事を知らされ、その捜索を通じて再びこのフィクサーへの内偵を密かに開始する。一方で裏社会で頭角していた岩松了は、その大物フィクサーとコネクションを築き、大型の投資案件を持ち掛ける。

この回は、本来のバディものとしての味付けは相対的に希薄で、そのことによって、やがて、岩松了の演じる魅力的なキャラクターが、今回の影の主人公としての明瞭に浮き上がってくる構図。そして右京の捜査能力のキレと鮮やかな推理によって、戦後の日本社会の闇を体現する一人の老人の姿にストーリーのフォーカスが絞られていく。

まるで「チャイナタウン」のようなおぞましさが顔を覗かせる後半の流れが特に圧巻。
日本のテレビドラマとしては振り切った、本当に素晴らしい出来だった。
以前は1シーズンに何回かは、今回のような見事な作品に出くわしていたのだけど。



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