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東京公園 [映画]

未見だった青山真治の「東京公園」。BSで放映されたのを予約録画して、残業で疲れ切った金曜の深夜に鑑賞。
その温かな世界観と適度な人間関係の距離感に、すっかり癒された。

三浦春馬が主演で、共演は榮倉奈々、小西真奈美、染谷将太など。
以下ネタばれあり。

主人公は、カメラマン志望の学生。ある日、まっ昼間の公園で適当に写真を撮っていると、見知らぬ男性から難癖を付けられてしまう。後日、その男から、その難癖のきっかけとなった美しい女性の尾行と隠し撮りを依頼され、謝礼に釣られて引き受けてしまう。

一種の探偵系ストーリーか?(まほろ駅前シリーズみたいな)、はたまた巻き込まれ系犯罪サスペンスか?と思えば、さにあらず。ストーリーの重点としてはむしろ、屈託の無い主人公の日々をほのぼのと描きつつ、主人公とその周囲の人間たちとの間の関係性の緩やかな(そして決定的な)移ろいを見守っていくことにある。
特に重要な登場人物として主人公の周囲に配置されているのが、主人公と少し年の離れた、美しくて気のいい姉貴(小西真奈美)と、主人公の幼馴染と思われる同年代の友人の女の子(榮倉奈々)。そして主人公の親友で何故か主人公の部屋に引き籠り状態の男子(染谷将太)。

この引き籠り男子が実は・・・!という設定が、いかにも映画好きウケするフックになっている。こんなチャーミングな異質要素を、ポイっと何気なくストーリーの中に紛れ込ませるのはセンスだと思う。同時に、彼の存在によってこの映画の中に潜在的に持ち込まれている要素があって(多分)、それは死に対しての日常的な意識。
日本映画の典型の一つと言えるモラトリアム・ライフの映画なんですが、実はそんな平和な日常のそばに、死と暴力は常に潜んでいるという事を、この映画は観ている人間に示唆する。女の子が不意打ち的に同僚にレイプされそうになったり、とか。

やがて、盗撮依頼男も含めて、登場人物たちにそれぞれに訪れる訣別や成長。続いていく日常の中で、それまでのフェーズから別のフェーズへの移行を、この映画は美しく描いていく。
そしてそれらは常に、真剣で真摯なコミュニケーション、その結果である。そこをしっかりと踏まえている点がまた、この映画の素晴らしい点の一つだと思う。

個人的評価 4.5点/5点満点

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