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NHK大河 平清盛 (パート2) [テレビドラマ]

いよいよ第二の佳境に入りつつある、NHK大河ドラマ、平清盛。

この大河ドラマは、時折、視聴者を「?」とさせ、無用の当惑感に置き去りにしてしまう展開がしばしば存在し、
(この辺りは、下記コラムに非常に詳しくて、なるほど、て感じだった。
 http://www.ele-king.net/columns/regulars/kanedajunko/002393/
 「裏・清盛空間」とは、よく言ったもんだ。)
そんな時は呆気に取られつつ、
「う~ん、何なんだろうこれは?  さて。
 まあ、これはこれで観念的な表現という事でアリとしようか。中世だし。うん。とりあえずそうしとこう。」
などと無理やり自分を納得させ、次へ進むのだけれど、それはそれとして、ここに来て再び面白くなってきたなあ、と思う。

清盛が平氏の棟梁として、自分の理想の国造りを追い求めようとして、保元の乱・平治の乱という権力闘争を勝ち上がって行く過程が、第一の大きな佳境だったと思う。

今はそれが、清盛が権勢の頂点を極め、彼と彼の一族が武門から貴族へと変質し始めることで、終わりの始まりに徐々に移行しつつある感じ。
つまり諸行無常とか、驕れるもの久しからず、という平家物語のモチーフが、ここ2−3週の放映で、じんわりと確実に表面化してきた感が強いのである。
そして来週の放映は、ずばりタイトルが「平家にあらずんば人にあらず。」
いよいよである。(何がだよ)

京から福原に移り、宋との交易で国を富ませる事で、悪しき貴族政治を改革するという、自分の理想の国造りを本格化させた清盛。
そんな清盛の留守を預かり、京の陰険貴族達との政争の矢面に立つ事になるのが、清盛の長男、重盛(窪田正孝)である。
清濁併せ持つ清盛と、聡明だが清廉過ぎるがゆえに徐々に父の大きな影に悩まされていく重盛、この二人の父子関係が、当面のストーリー展開の大きな鍵として位置付けられる。それは正しい方向性だと思う。
重盛は、清盛の後継者にして、実際に清盛が実務面で一番頼りにしていた息子と言われている。その重盛の若すぎる病死は、清盛の有能な後継者の喪失を意味し(重盛の代わりに宗盛(石黒英雄)が家督を継ぐんだが)、平家没落の遠因の一つとなったみたい。

松山ケンイチは、スケールの大きな、いい役者になったと思う。
この人は、もともと、何かに「なりきる」かどうかのタイプの役者だと思ってて(エルとか)、今の清盛へのなりきり具合はほぼ満点。
明らかに見た目の年齢が実際の清盛(50歳代)と違う事を除けば。(松ケンに限らず、みんなそうだけど。)
権力の頂点に君臨する男の泰然自若ぶり、その裏側の冷徹さと底の知れなさが、画面に映る彼の所作や表情や発声から溢れているし、絶対的な権力によって清盛が徐々に変質していくのかな、という感も見え出している。
国のため民のため、が、自分の一族のため、にいつの間にか目的がすり替わっているし。手段の目的化、よく聞く話です。

だいいち、今までの大河ドラマは、秀吉しかり信長しかり、主人公が権力を握った後の変質(残酷さ、誇大妄想、妄執など)は全く描かない、というかそんな事は全力で無かった事にする、というのが大きな特徴だったのだが、今回の清盛はどうなるんだろうか。
ちょっと楽しみ。

あと、役への妙なはまりっぷりでは松ケンに全く負けてないのが、信西(阿部サダヲ)と義朝(玉木宏)亡き今、清盛の最大の政敵となった後白河法皇を演じる松田翔太。
なかなかの困ったちゃんである後白河を生き生きと演じてます。彼も今回は、なりきる事に徹してますな。出て来た時の、画面における支配感は松ケン清盛以上。
清盛と後白河の“サイコロ遊び”と称するライバル関係が、終盤に至るまで大きなドラマの対立軸となる。

頼朝(岡田将生)の蜂起も、後白河が全国に発した反平家の檄が契機となったわけで。
その頼朝も、今回の放映でついに、全身全霊をかけたクヨクヨっぷりから立ち直り始めて、ああついに歴史が回り始めたなあ、と。

当時の東アジア情勢を俯瞰する上で欠かせない存在である奥州藤原氏の藤原泰衡(まさかの京本政樹!この変化球キャストはナイス!)も、ついにストーリーに登場。

来週はついに牛若丸(神木隆之介。義経はこの人か染谷将太のどっちかではないかと予想していたというか、願望していたというか)が弁慶(青木崇高)と出会い、自分の運命と出会うようだし、それに、忘れてならない平時忠(森田剛)の暗躍っぷりも、随分とサマになって来た。

二階堂ふみが徳子にキャスティングされてるしね。
これでもう主要キャストが出揃った感じかな。あとあるとすれば源義仲くらいかな。

徐々に歴史の歯車が再び回り始めたようで、見逃せない感じです。
どうせなら、清盛の死で終わるんでなくて、清盛の死後は一足飛びでいいから、壇ノ浦で終わって欲しいところであります。


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