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南瓜とマヨネーズ [映画]

それにしても北斎展/あべのハルカス美術館の異様な盛り上がりは、一体どういうことなのだろうか。平日の夕方なら混雑具合はまだマシ、というネット情報を半分信じて、仕事を定時で無理やり切り上げて観に行ったのだが、それでも凄い人口密度。うんざりしつつも、内容の充実度にはとりあえず満足。まあ開催期間が短すぎる(1ヶ月半)、っていうのもあるとは思うのだけど、いつの間にこんな未曾有の北斎ブームが日本全土に訪れていたのだろうか?

私は、宮崎あおいが北斎の娘・お栄を演じたNHKの単発ドラマを観て、北斎展を観に行こうと思ったクチである。そんな人は結構多いと思う。この単発ドラマは、芸術性の高いハイビジョン映像といい、ウェットとドライのちょうど絶妙なバランスを成立させた人物造形といい、さすがのNHKクオリティ。中でも主人公をハードボイルドに演じた宮崎あおいは本当に魅力的だった。松田龍平も。宮崎あおいは、ここ数年間の彼女の出演作品の中ではベストアクトだったと思う。

このドラマで特に大きくフィーチャーされていた、北斎晩年の龍雲図、そしてお栄(葛飾応為)の手による吉原格子先図は、今回の北斎展でも展示されており、やはり注目を集めていた。ドラマによる予習効果もあって感無量。そして北斎って、浮世絵だけに留まらない、それこそ西洋美術史の錚々たる天才画家たちに匹敵する絵画の天才だったんだな〜と実感した。

で、それだけで家に帰るのは勿体ねぇな〜と思い、難波のシネコンで「南瓜とマヨネーズ」を鑑賞。素直に、いい映画を観たな〜と思える作品だった。まあ、自分、基本的にこういう映画が好きなのである。「ジョゼと虎と魚たち」の系統といいますか。

富永監督の前作「ローリング」は傑作で、地方都市を舞台に荒廃した人間群像を描くという昨今の日本映画の大きな潮流(ここ1−2年間でも良作・問題作が百花繚乱・・・とてもいいことだと思う)の中でも、一際鈍く輝いていた作品だった。なにより、川瀬陽太という怪優のポテンシャルには痺れっぱなしだった。
打って変わって今作は、若いミュージシャンのヒモと昔の男の間でぐらぐら揺れ続ける女性の心情を描いた、オシャレっぽい感じの映画。場所は下北か吉祥寺か、多分その辺だろう。とにかく東京の映画であり、サブカル志向の強い作品だった。だけど、軽妙な語り口とか、主人公がどっかイタい感じで、しかし憎めないように描かれている点とか、テーマは相反するようでいて、テイストは「ローリング」と相通じるものがあったと思う。何というか、映画として真っ当な作り方がされている、という感じ。

臼田あさみはハマリ役、オダジョーは抜群、だけど一番目を引いたのは、才能をくすぶらせたミュージシャンを真摯に演じきった太賀の好演。今後も期待大。
ところで映画の中でかぼちゃとマヨネーズって出てきたっけ・・・? もう一回観た方がいいのかしらん。

個人的評価 4点/5点満点


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