SSブログ

2017年 映画ベスト10 + α [映画 年間ベスト]

2017年、ブログを更新する時間(というより気力)はなくても、阿呆みたいに映画を観る時間はしっかりと確保。だがしかし、例年に比べて、何と言うか安打率は悪かった気がする。

例年、ベスト20以上を勝手に発表しておりますが、今年はベスト10+α。
1位から5位までは順番に、6位以降は見たもん順で。

1位 「ダンケルク」 監督:クリストファー・ノーラン
yeH919-I6-d15.jpg
とにかく、その圧倒的な疑似体験性が、映画体験として強烈。IMAXで鑑賞して正解。
爆撃や沈没の恐怖をひたすら味わい続けながら、戦場の人間ドラマとしても見応え抜群で、3つのストーリーラインを敢えて同時進行させるトリッキーな構成にも、最後はほぉ?と感心。

2位 「ムーンライト」 監督:バリー・ジェンキンス
wu5gm2q0t0ahp.jpg
麻薬と貧困と暴力、或いはマイノリティの生き辛さという過酷な現実を描きつつも、この映画は、繊細な映像美に彩られた青春映画であり、闇夜を照らす月の光に祝福された人生賛歌。

3位 「あゝ、荒野 前篇」 監督:岸善幸
n_20ghyo9q1jqyhloqotto.jpg
まさにこれは現代版あしたのジョーですな。
他の演者も良いのですが、とにかく菅田将暉に目が奪われ続ける。
(後編は、遅刻して最初の10分間を見逃してしまうという失態を演じてしまった。よって?選外。)

4位 「マンチェスター・バイ・ザ・シー」 監督:ケナス・ロナーガン
w62635mqpjaza.jpg
心に深い傷を抱えた男の帰郷を描くヒューマンドラマ。胸をえぐられるような悲劇を物語の核に配置しつつも、どこかオフビートで肩の力が抜けたストーリーテリングが秀逸だし、主人公と対照的な若者を主人公の隣に配したことも効果抜群。映像感も大好き。

5位 「沈黙 サイレンス」 監督:マーティン・スコセッシ
l-little-woo-838.jpg
これもやはり映像体験としての圧倒感。身と心の両方を削るような俳優たちの演技にも心奪われる。
日本の時代劇を、ここまで真っ当に映像化してみせたスコセッシ監督って、やっぱり凄いなあ?、と。


以下、6位から10位まではランクづけではなくて、見たもん順で挙げていきます。

「バード・ショット」(大阪アジアン映画祭にて) 監督:ミカイル・レッド
5kiV0748ll.jpg
フィリピン発、傑作フィルムノワール。絶滅危惧種の鳥類が飛来する禁猟区域で禁を犯してしまった少女と、公権力の腐敗に徐々に蝕まれていく新米警官、この二人の主人公の運命の交錯。

「3月のライオン 前編」 監督:大友啓史
vhjkwpmfctzvna.jpg
実は後編では失速感を感じてしまったのですが・・・。前編を観た直後は興奮冷めやらず、でした。
将棋バトルロワイヤルな俳優たちの鬼気迫る熱演に思わず大満足。

「パーソナル・ショッパー」 監督・オリヴィエ・アサイヤス
flq6601tlhpot-opwptw.jpg
本年度のもう1回観たい映画部門ナンバーワン。オリヴィエ・アサイヤス流の黒沢清的ゴーストストーリー、しかしジャンルの越境感覚はまさに匠の円熟。スリリングな映画体験。

「ベイビー・ドライバー」 監督:エドガー・ライト
wagonbeatcrashbang.jpg
冒頭5分のジョンスペ使いだけで、この映画は、間違いなくマスターピース認定です。

「彼女がその名を知らない鳥たち」 監督:白石和彌
MIU35697-5208tQ.jpg
稀有な映像体験。
蒼井優も、彼女を取り巻く3人の男性俳優も、愛の不条理をテーマとしてストーリーも、とにかく素晴らしかった。

次点クラスとして、いくつか。今年は邦画ばかりになってしまった。

「美しい星」 監督:吉田大八
x1Oe358agabGTiwgA.jpg
リリー・フランキーが可笑しすぎます。

「ヘッド・ショット」 監督:ティモ・ジャイアント&キモ・スタンボエル
9c3a0g7bm2wwbqbsr4.jpg
ストイックなバトルがアツかった。シンプルだけど燃える!

「獣道」 監督:内田英治
KV8-gbtaP0.jpg
地方都市の闇をこれほどポップな形で描いた作品を私は知らない。

「恋とさよならとハワイ」 監督:まつむらしんご
eHbpisY51-9.jpg
別れても同棲継続中の若いカップルの物語。今年一番のみっけもん。主演の女優さんがとてもいい。

「勝手にふるえてろ」 監督:大九明子
oi3-ia28weemf0a0q4jqll0.jpg
強烈こじらせ女子を演じる松岡茉優がチャーミングすぎます。

2017年はその前の年と同様、邦画多め。
そういや外国映画のロードショー公開本数が、徐々に少なくなってきているような気がするのですが、どうなんでしょうか。昨今の日本の内向き傾向の表れ?

というわけで、邦画では、上記以外では
「彼らが本気で編む時は、」「愚行録」「チアダン」「夜空はいつでも最高密度の青色だ」「散歩する侵略者」「パーフェクトレボリューション」「ミックス。」「月と雪」「火花」などなど。レベル高い。

洋画では、「わたしは、ダニエルブレイク」「ELLE」「ゲット・アウト」「ドリーム」「キングコング髑髏島の巨神」など。
「ゲット・アウト」のB級感覚は大好き。「ムーンライト」「ゲット・アウト」「ドリーム」は3本立てで観たい。バーホーベン監督のサスペンス「ELLE」は、バイオレンス映画としても強烈。一方でケン・ローチ監督「わたしは、ダニエル・ブレイク」の真摯な告発には、ストレートに感動した。「キングコング」は映画マニアからそうでない人たちまで万人にオススメできるハイレベル娯楽大作。

ハリウッドから続々と押し寄せるシリーズ続編もの、今年は良作が多かったと思う。特に「ブレードランナー2049」「スターウォーズ 最後のジェダイ」の2作品。「ブレードランナー2049」と同じ監督つながりで、「メッセージ」については、途中までは年間ベストワン級だと思いながら観てました(ラストがちょっと・・・)。まあでも、改めてドゥニ・ヴィルヌーヴの映画監督としての資質には感心。独自のヴィジョンを持っている、というか。

スーパーヒーローものについては食傷気味なんですが、「マイティーソー バトルロワイヤル」は軽いギャグ路線に路線変更していて、気楽なノリに好印象でした。もう地球を(というかアメリカを)救わなくていいから! 

ヨーロッパ映画では、セルビア内戦をテーマに、3つの時制の互いに独立した物語を同じ俳優達が演じるという技巧性が見事だった「灼熱」。それと、グルジア内戦をテーマに、シンプルな寓話設定で戦争の愚かしさを描き切った「みかんの丘」(グルジア映画)。この2本のヨーロッパ辺境映画が素晴らしかった。両方とも内戦がテーマというのが考えさせられる訳ですが・・・。

一方、アジア映画、なかなかフィット作に当たらず。そんななかで、大阪アジアン映画祭で観た「29+1」はかなりのヒット。あとパク・チャヌク監督「お嬢さん」も面白かった。あ!むかし大阪アジアン映画祭で観た台湾映画「星空」がついに日本でも一般公開!観たらやっぱり傑作でした。

忘れてた! ヤスミン・アフマド監督の遺作「タレンタイム」は全地球人が観るべき傑作!! ある意味、どんな宗教の聖典よりも神聖で崇高な映画。この人の特集上映をやってほしい。


さて俳優部門。
男性部門は「あゝ、荒野」菅田将暉。もはや役者として本格覚醒であり、「帝一の國」「火花」も素晴らしかった。
2017年、テレビドラマは高橋一生の1年でしたが、映画はこの人でしょう。

他には、ライアン・ゴズリング(「LA LA LAND」「ブレードランナー2049」「ナイスガイズ!」)、アダム・ドライバー(「沈黙」「パターソン」「ローガン・ラッキー」「SW8」)、リリー・フランキー(「美しい星」「パーフェクトレボリューション」)、阿部サダヲ(「彼女がその名を知らない鳥たち」)

女性部門は「ELLE」イザベル・ユペール。既に世界的な大御所女優なのに、こんな問題作のこんな過激なヒロイン役に挑むのがスゴイ。

他には、クリスティン・スチュワート(「パーソナルショッパー」「カフェ・ソサエティ」)、松岡茉優(「勝手にふるえてろ」)。

さて、年の瀬に発表された、京都みなみ会館の3月末閉館予告は、心底残念なニュースだった。好きだったバンドが解散発表した時のような感じである。

そんななか、神戸三宮まで出かけて、「ハッピーアワー」で2017年の映画納め。2回目の鑑賞だったのだが、前回観てから1年半以上経過しているため、いいカンジで細部を忘れており、しかし物語の骨子は覚えているので伏線や象徴がクリアに理解でき、映画の舞台である神戸でこの映画を観るという半ば自己満足、そして終演後の大人数での和気藹々とした(そして監督による説明が結構ディープな)舞台挨拶も含めて、心から満足のいく映画納めだった。

今年も良い映画にたくさん出会いたい。

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。