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2014年第2クール 気になるテレビ・ドラマ [テレビドラマ]

今クールは、民放の連ドラが結構当たりではないかなあ、と思ってますが、どうなんでしょうか。
おかげで、ドラマを毎週チェックする事に自分の自由時間の多くが消耗されてしまうという、不毛な状況に陥ってしまいました。

それにしても目立つのはやはり、警察モノ/犯罪モノ。みんな「相棒」に憧れてしまっているのですね。

それと、月9枠で「極悪がんぼ」が放映されているように(このフジテレビの英断・勝負心は私は評価したい)、視聴者のメイン・ターゲット層はもはやF1層ではなくて、よりアダルトな層、もっと言えば、30代〜60代のサラリーマン男性にメイン・ターゲット層が移行したのではないかなあ、と。
これもやはり「相棒」の影響、そして言うまでもなく「半沢直樹」の歴史的な大ヒットのインパクトでしょう。
いわゆる、柳の下の二匹目のドジョウ狙い、が多そうな感じは否めないし、最終的にはクオリティへのコダワリが全てだと思うんですが(視聴率じゃないですよ)、それを前提条件として、この傾向は良いことだと思う。

個人的に面白いと思っているのをピックアップ。

「MOZU」
これが、今クールの一番の当たりでした。
公安の刑事を主人公に設定した、本格派のクライム・サスペンス。
WOWOWとTBS共同製作。同じくWOWOW/TBS共同製作「ダブル・フェイス」(「インファナル・アフェア」のリメイク)に引き続いての、西島秀俊と香川照之の共演。そして、相変わらずシャープな役がカッコいい真木よう子、この3人が、このドラマの主軸。
そして、キーマンを演じる池松壮亮、長谷川博己を始め、小日向文世、有村架純、生瀬勝久、石田ゆり子・・・凄い豪華。
中でも異彩を放つのが、長谷川博己の手下役の吉田鋼太郎。ある意味このドラマは吉鋼祭りである。

ストーリーの核を成す謎は、真っ昼間の都市部で発生した爆発テロ事件の真相と、そのテロに巻き込まれて死亡した主人公の妻の謎、記憶喪失の暗殺者の素性とテロ事件との関連、そして思わせぶりな百舌の早贄のイメージ、”だるま”と呼ばれる不気味な男のイメージ。
まるで香港映画のような本格アクションも見応えアリ。

「BORDER」
その「MOZU」の真裏にやっている、小栗旬主演の異色刑事ドラマ。何が異色かと言うと、頭に残った弾丸のお陰で、主人公は死者が見える/死者と会話できる、という。
つまり、まず冒頭で、殺人事件のガイシャが主人公の刑事に犯人を告げるという、究極の掟破りな刑事ドラマ。
しかしこの刑事ドラマも非常に出色な出来で、無念の死を遂げた死者との対話というメインのモチーフに合致した、ドラマ全体を支配する静謐なムードは、じっくり観たいと思わせる吸引力をそなえている。
小栗旬の同僚である、青木崇高、波留の2人もいい。ちゃんとキャラ立ちしていて、小栗旬を含めた3人のアンサンブルは魅力的。
そして小栗旬を影でサポートする裏稼業の専門家として、天才ハッカー二人組(野間口徹とハマケン)と、盗聴や裏工作を得意とする裏の便利屋(滝藤賢一)、彼らの独特な佇まいが、実に絶妙なフックになってます。

「弱くても勝てます」
高校野球もの。
二宮和也主演に、有村架純、福士蒼汰、荒川良々、薬師丸ひろ子とあまちゃんファミリーを大々的に起用し、麻生久美子、市川海老蔵、光石研らを投入したキャスティングは、非常に豪華。
学業は優秀だが野球は下手くそな、進学校の野球部員たちと、その野球部のOBで、公式戦で大敗を喫した事が原因でユニフォームを脱いだ過去を持つ、臨時の理科教師(二宮和也)。彼らが、彼らなりの独自の方法論を追求して野球に打ち込む姿を、和気あいあいとした感じで描く。
基本、草食系男子が和気あいあいと群れている感じの、ゆとり世代的青春ドラマと言えますが、”野球は下手でも試合には勝とう!”という理念のもと、理論で(机上の空論もあるけど)野球を捉えていこう、という姿勢は、型破りであり痛快ですらあります。主人公の理科教師のリベンジ、というファクターが時折ストーリー上に浮上するのも面白い。
今クールで、2番目に面白いと思うドラマです。

「ブラック・プレジデント」
沢村一樹がブラック企業(本当の意味でのブラック企業とは言えない設定だけど)の社長の役。
その社長が、気まぐれで社会人入学した大学で、ゆとり世代の学生達とキャンパスライフを送る、という内容なんですが、これが結構面白くて毎週楽しみにしております。
その社長と対立関係になる、経営学の大学講師を演じる黒木メイサが、なかなかのコメディアンヌぶり。
しっかり者の社長秘書を演じる国仲涼子も良いです。
回を追うごとに、阿部寛「結婚できない男」みたいな感じになってます。あの雰囲気、大好きだったなあ〜。このドラマもそんな感じで、既視感はありますが、面白いです。

「極悪がんぼ」
尾野真知子を主演に起用したのは当たりだと思うけど、何と言っても、金髪の三浦友和である。もうそれだけで、このドラマは成功したも同然、と思うのですが。
そして、その脇を固める、ナニワの銀ちゃんこと竹内力のインパクト。月9で竹内力、突破力あり過ぎでしょう。得体の知れない老けキャラを演じる小林薫も、ドラマ版ナニワ金融道に出演していたのがオーバーラップ。
他にも椎名桔平、板尾創路、クドカン、オダジョーと曲者揃いのキャスティングで、月9枠らしからぬアグレッシブさ。非常に好感度高し。
月9でこういうドラマをやる事は、意義がある事だと思う。決して軽みは失わない脚本になっているけど、描くのは、カネの恐さ、人の欲望の恐さ。
これは教育ドラマです、エンタメとしてきっちり成立した。

「SMOKING GUN」
香取慎吾が鑑識のスペシャリストを演じる。民間の鑑識会社がドラマの舞台で、よってこのドラマは刑事ドラマではないけれど、実質的には刑事ものにカテゴライズされます。
鈴木保奈美が結構いいのと、テーマソングにN'夙川ボーイズを起用したのは本当にエラい!よくぞ起用してくれました!
香取慎吾が、必ず「スモーキングガン」とキメセリフを言う、っていうのが、感覚的にちょっと古くさい気がします。ストーリーも物足りない。しかし、N'夙川ボーイズ。

「俺のダンディズム」
滝藤賢一初主演。路線としては、「孤独のグルメ」シリーズや「めしばな刑事タチバナ」の路線。
このドラマで明らかに演技過剰の滝藤賢一、毎回、レッドゾーンに躊躇なく踏み込んでいる感があります。
ジローラモ万歳!! 週刊誌の袋とじ万歳!!

「軍師官兵衛」
とりあえず、年始からずっと観てるんですが、それほど盛り上がるものを今まで感じず。キャスティングがそれほど目新しくないっていうのもあって。しかし戦国ものは個人的にマストなんで、とりあえず見続けよう、とか思いつつ辛抱強く見ていたら、ついに今週。
官兵衛(岡田准一)が、毛利方に寝返った荒木村重(田中哲司)を説得しに行って、裏切られて幽閉されるという、彼の生涯のなかで一つのターニング・ポイントとなった事件。
その裏切り劇の主役となった田中哲司と片岡鶴太郎、この2人の渾身の演技による人間ドラマが展開された今回は、大いに見応えあり、でした。
今後もしばらくは、織田方と毛利・本願寺連合の陣取り合戦(最大の攪乱要素は、おそらく陣内孝則演じる宇喜田直家、という事になるんでしょう)が続くと思われ、楽しみです。

追記
「ファースト・クラス」忘れてた!
正直、マウンティング・ランキングは、どうでもいいんですが・・・。
このドラマの肝は、田畑智子・菜々緒らの強烈な心の声。キャッチーすぎてジーニアスな心の中の罵詈雑言の数々に、毎回クラクラしてます。脚本書いてる人、相当楽しそう。
あと私は、沢尻エリカさんは、演技をするという事については凄く真面目な人なんだろうなあ・・・という気がしています。女優さんとしてあるまじき失言をしてしまったせいで、大分世間から叩かれてしまったけど、これからも頑張って欲しい。


あまちゃんについて [テレビドラマ]

何故、今更、あまちゃんなのか?

何が、”何故、今更、あまちゃんなのか?” だよ? 
と自分で書きながら思ったりしてますが。

去年のNHK朝ドラ、あまちゃん。社会現象すら引き起こしたこの連ドラ、完全に私には手に余る題材です。クドカンの脚本は相変わらず面白かったし、ミズタクの昔やってたバンドの名前が “バースデイ・オブ・エレファント” だったり、前髪クネ男のブレイクだったり、トシちゃんのそっくりさんだったり、劇的ビフォーアフターだったり、さかなクンが結構活躍したり、そして不意に胸に迫ってくるストーリー展開の数々・・・
それらをフツーに毎日楽しみにしていた2013年の4月〜9月なのでした。

で、あまちゃんと、その社会現象について、様々な領域の有名人・評論家・ライターさんなどが、様々な視点から、語ったり評論したりしている。色んなムック本も出ている。
題材自体が面白いので、そこから派生した評論やコラムもまた、プロの文筆家がその人独自の視点/角度での見方を提示してくれるわけで、面白くないわけがないし、時にその考察の深さには感心させられてしまう。

結局それはやっぱり、抜群の脚本と、個性派/実力派/ベテラン/中堅/新人の俳優たちの快演によって創造された、あまちゃん世界の登場人物達への愛着であり、15分間×6日×26週間のそこかしこに散りばめられたパロディやギャグやオマージュ、それらの元ネタや参照点に対する情報量の多さであり、このドラマで提示される「地元への回帰」「地方と東京の完全に等価な並列」という価値観が持つ時代性であり、言うまでもなく東日本大震災と震災前/震災後という現在進行形の日本を、一般庶民のレベルで描くことであり。あくまでもライトなノリで。ライトなノリを大切に、強固に、維持しながら。

何より私が嬉しくて仕方が無いのが、単純に、クドカンの脚本が、よりによってNHK朝ドラ15分間という枠で、来る日も来る日もお茶の間に提供され、それが広く愛されて、社会現象にすらなってしまったことであります。
いつもの通り、小ネタ・ギャグをガンガンにストーリーの中で散りばめ、話し言葉のセリフの応酬をテンポよく見せてくれて、ボンクラで愛すべきキャラクター達の群像劇を造り上げてくれた。しかも、フッと、感傷のスイートスポットを突いてくる脚本の妙。
「木更津キャッツアイ」「ぼくの魔法使い」「マンハッタン・ラブストーリー」といった名作が、知る人ぞ知る存在のドラマだった当時と比べると、もう隔世の感というか、ただただ感無量というか。

それと、10代の少女アキ(能年玲奈)を主人公に据えながら、実はこのドラマはその母親の春(小泉今日子)の物語である。それと同時に、祖母のお夏さん(宮本信子)の物語でもある。
3世代の目線の物語を、フラッシュバックを効果的にカットインさせる事で、実にドラマチックな形で並列させて描くという、技アリで、鉄板でもある物語の基本構造。
その事によって、全世代に訴えかける力を持つ国民的ドラマに仕立てあげてしまった。

まあ、このドラマの全てを崇拝的に持ち上げよう、という訳でも無いのですが。

で、何故、今更あまちゃんなのか?

そう、それは、紅白歌合戦である。
潮騒のメモリーズが紅白に出場したのです。そしてそれが意味すること。それは、そう、ついにユイちゃんが、東京に来る事が出来た、ということであります。
それはもう、非常に大きなトピックなんである。
よりによって、私が日本にいない間に!!!
その感動の瞬間に立ち会う事ができなかった事を知った時の失望感たるや・・・スペインなんかに行っている場合では無かった。
あまちゃんが完結してしまったじゃん! 俺のあずかり知らない所で。何をやってるんだ、オレはいったい!

北三陸を舞台にした第一部、東京を主な舞台とした第二部、そして震災以降の北三陸に戻って来る第三部(というか第二部の後半?)、大きく3部構成していたあまちゃん。
その、第一部の後半から、最終週に至るまでにおける、ストーリーの焦点の一つが、トップ・アイドルになるという野心を持つユイちゃん(可憐にして、けっこう腹黒)が、果たしていつ、東京に行けるのか?だった。

思いっきりネタバレですが、アキと2人でアイドルになるために東京に旅立つ第一部の最後で、如何ともしがたい家庭の事情が彼女の東京行きを阻んでしまう。1人で東京に旅立つアキを、泣き叫びながら見送るユイ。この第一部の非情なラストは強烈だった。
そして、東京でアイドルとしての地歩を徐々に固め、陽の光を浴びていくアキと対照的に、地元でくすぶり、根性もねじ曲がってしまった彼女は高校を退学し、家出して謎のヤンキー愛犬家(!)と同棲、バリバリのヤンキー娘に大変身・・・と、徹底的に陰を背負わされてしまう。
やがて、春を始めとする周囲の大人達の励ましで、何とか立ち直った彼女は、アキとGMTのコンサートを観る為に東京に向かうことになるのだけれど、それを阻んだのが今度は東日本大震災である。
停車して動かなくなった列車から下車した彼女、その瞳が目にした光景。我々視聴者は、あの大惨事の光景を、彼女の茫然自失の表情を通して目にするのであり、そういう意味で彼女は象徴的に震災そのものすら背負わされてしまうのである。

本当にいい加減にしろよ、クドカン!!
と私は怒ったものだ。

それが今回、紅白歌合戦でコンサート、つまりユイちゃんが遂に東京に来て、しかも潮騒のメモリーズとして華々しい舞台に立ってしまったのである!!
もちろん、その事自体は、本当に嬉しい。
けど本音としては、どういう経緯で東京に出て来れたのか? そして、ついに夢が叶ったその舞台は果たしてどんな感じだったのか? 何でオレはそれを見逃してしまったのか〜っ!

俺の中であまちゃんがついに完結してしまった。しかも、全然知らない間に。


テレビドラマ 2013年第2クール [テレビドラマ]

今クール(2013年4月〜6月)は、観るドラマの本数を減らそうと思いました。
で、現時点で、気に入ったドラマ。

「家族ゲーム」
松田優作の印象が強いけど、櫻井翔も負けてない。爽やかキャラで目の奥が全然笑ってない感じが十分恐いです。役に恵まれつつ、けど、俳優として完全に覚醒した感じがする。
かなり面白い、板尾さんと鈴木保奈美を配役したのも面白い。
櫻井翔と対決する役回りと思われる神木隆之介、そしてミステリアスな存在にキャストされた忽那汐里、彼らの活躍にも期待。

「ガリレオ」
や、十分面白いです。
ただ、ストーリー的に言って、1時間という枠が短くて常に物足りない気がするのと、あと前から思ってることなんだが、謎解きする時にところ構わず数式書いたりするのは、全く必要ないんじゃないかと。

「めしばな刑事タチバナ」
どのドラマに出ても異物感を醸し出す佐藤二朗、超ハマり役。
取調室で容疑者ほったらかしで、「オレにも語らせろ!!」とデカ長(小沢仁志)や副署長(温水洋一)も乱入し、立ち食いそばやジャンクフードのウンチクトーク全開。
最高だなあ、この下らなさ。
オープニング・テーマ・ソングであるCKB「ソウル・フード」のハマり具合も相当であります。

「みんな! エスパーだよ!」
園子温監督、染谷将太主演。
漫画が原作らしいけど、脅威の下ネタ・エスパー・ドラマ。染谷将太はこのドラマではある意味で引きのポジションで、結果、エロい事でないとサイコキネシスを発動できない能力者役・マキタスポーツが、何もかも食ってしまっている印象。(中尾明慶も負けてないけど。)
そして、何故このメンツの中に、脳科学者の茂木健一郎が・・・? 謎が謎を呼びます。(?)

「あまちゃん」
ここまでくると本当に凄いねえ、宮藤官九郎。
持ち前の小ネタ散りばめ感を全開にしつつ、しかも、朝ドラ視聴層を置いてけぼりにしないストーリー展開。
朝ドラ枠、毎朝15分間の尺で、視聴者(特に震災の被災者の方)を明るい気分にしたい、という、クドカンの意図にブレがなく。しかもちょっとしたことで、不意にホロリとさせるストーリーテリングの妙は、もはや職人芸的ですらあって。
脇役が凄い豪華、どんどん魅力的な新キャラ登場するのもワクワクさせてくれます。
このオープニング・テーマ、脳内リピート状態。


テレビドラマ 2013年第1クール [テレビドラマ]

新年明けてテレビの新クールが始まってから、チェックするドラマの数が多くなって、ちょっとたいへん。

「八重の桜」 NHK
正直、そんなに興味無かったんだけど、見てみたら、やっぱり安心のNHK大河クオリティ。
綾瀬はるかや西島秀俊を始め、キャスティングがどれも実力のある人気者揃い、という点と、あと、会津藩という切り口はこれまでに無い新しいものだけど、その本質は「新選組!」「篤姫」「龍馬伝」に続く鉄板の幕末動乱ものであり、面白くないワケが無い。という感じ。

「書店員ミチルの身の上話」 NHK
決め手はキャスティングだな。
安藤サクラ、柄本祐、高良健吾、新井浩文など、相当コダワリのキャスティング。
高良健吾の演じている男の役が、いよいよ本性を現しつつあって(こういう役は特に上手い)、今後の展開が凄い楽しみなんだけど、最大の謎はミチルの"夫”を名乗るナレーションの大森南朋でしょう。
運命のいたずらで主人公ミチルが手にした宝くじの当選金をめぐって、どこまで深い人間心理のあやに到達できるか?

「相棒」 テレビ朝日
回によって当たり外れはあるものの、見過ごせません。
最近は、いつも特命係の部屋を覗くだけの組織犯罪部の二人にセリフがあると、妙に嬉しくなります。

「最高の離婚」 フジテレビ
これも主役四人のキャスティングをバッチリ揃えた感があるんだけど、何よりも、瑛太が演じる主人公がイタ過ぎて直視できない・・・。
本人にとって何気無いコトバが、人に物凄い不快感を与えていて、それに後になって気付かされる感じ。うわっ、これ俺だ。
それから、毎週見るように。

「泣くな、はらちゃん」 日テレ
この土曜9時の枠は、すっかり日テレドラマの名物枠として定着。
家族で気楽に見れて、クオリティがちゃんとしてるっていう。
今回は、漫画から人が飛び出る、っていう設定で、その設定自体も秀逸なんだけど、その飛び出る漫画キャラのはらちゃんを演じるのが、長瀬智也。これ以上の適任者はいない、と思われます。おそらく満場一致で。
しかも、そのお相手が麻生久美子。職場の同僚のおばちゃん達にムカついて、家に帰って漫画で罵詈雑言を書き付ける事でストレス発散! そんなヒロイン見たことないわ。超ハマり役。
丸山隆平(「ボーイズオンザラン」)、薬師丸ひろ子(「木更津キャッツアイ」)、白石加代子(「すいか」)、光石研、奥貫薫、なんていうツボを心得たキャスティングもポイント高し。
職場設定は、あの映画そのまんまだけど。出てくるおばちゃんらまで。

「まほろ駅前番外地」 テレビ東京
正直、映画の方はそんなに。
けどこのドラマ版は文句の付けようがありません。
いちいち、ストーリーが一筋縄ではいかなくて、軽妙テイストなタッチで進行しながら、人間ドラマの深い所まで潜水タッチして戻って来る感じ。
一話完結の短編集スタイルとしては、「深夜食堂」シリーズに匹敵する完成度。こだわった、いいもん造っていると思います、ホントに。
それぞれの回に登場するゲスト陣(というか主役の二人以外は全員ゲスト)のキャスティングもいちいち絶妙。しかし、瑛太と松田龍平は相性がいいなあ。「アヒルと鴨のコインロッカー」以降かね。
今クールの私的No.1です。

「純と愛」 NHK
言わずと知れた。
前半は全く見てません。
余貴美子、そして何よりもオカマ役の石倉三郎が出てるのを知って、それからは、ずっと毎朝HD録画して、夜にそれを見る、というサイクルに。
登場人物が全員ワガママなのが良い。

「ボードウォーク・エンパイア 2 欲望の街」 WOWOW
実は、裏・私的No.1は、コレです。
マーティン・スコセッシ製作総指揮、禁酒法時代の1920年代アメリカのギャング・ドラマ。

ついにシーズン2がWOWOWで放映開始。やっぱり、ハマってしまいました。

シーズン2では、舞台となるアトランティック・シティを影で牛耳る主人公のイーノック "ナッキー" (スティーブ・ブシェミ)と、ナッキーの元部下で頭角を現し始めたジミー(マイケル・ピット)との対立がストーリーの主軸となる模様。
開拓時代から連綿と続くアメリカの暴力の歴史をなぞらえていくかのような男たちと、そんな男たちに翻弄されながらもしなやかに生きていこうとする女たちによって織り成される、金と欲と血にまみれた薄汚ない権力抗争を描く。

アメリカという社会が内包する多面的な要素を無数に織り交ぜながら、気品漂う美し過ぎる映像の数々と、どれも非常に人間くさい人物造形の群像劇で、人間ドラマとしても実にディープで妥協が無い。
光と闇、喧噪と静謐、生と死の鮮烈な対比が、このドラマが持つ人間ドラマとしての深遠さをより一層魅惑的なものにしている。
瞬間的に殺意や狂気が画面全体に炸裂する、テレビばなれした暴力シーンも、ショッキングで圧倒的だ。ジミーがナイフで暴漢二人を瞬殺してしまうシーンの、思わず息を呑む見事なスピード感!

キャラが魅力的なのも、このドラマの大きな魅力である。
特に、ジミーの相棒で、戦争で損傷した顔の半分をマスクで隠して生きている殺し屋リチャード(ジャック・ヒューストン)と、自分の中で善と悪の乖離が徐々に大きくなりつつある国税庁捜査官のネルソン(マイケル・シャノン)、この二人のキャラクター造形が非常に秀逸で素晴らしい。
殺し屋でありながら繊細な心を抱え、マスクの下に素顔を隠して生きているリチャードは、その演劇的な外見も含めて、このシリーズでおそらく、一番人気のあるキャラクターではないかと思う。
シーズン2で初登場の新キャラ、オーウェン(チャーリー・コックス)の陽性ハンサムなキャラクター造形もなかなか魅力的。

点数つけるなら、文句なく満点である。

ゴーイングマイホーム [テレビドラマ]

毎週癒されまくってました。

是枝裕和監督のテレビドラマ「ゴーイングマイホーム」。
低視聴率で残念、なんてニュースは気にしない。豪華なキャストの力を借りながら、とても丹念に制作されていて、ある意味斬新なTVドラマだった。

まあでも内容的には、彼の映画「歩いても歩いても」(傑作!)を元ネタに踏まえた感じではありました。
基本ラインとして、阿部寛が、自分の家族を引き連れて、都会から故郷の両親を訪ねて帰省する話だし。阿部寛と姉役のYOUとの関係性は映画そのまんまだし。

「歩いても歩いても」で老いた父親役を演じた原田芳雄に対するオマージュも、このドラマを企画・制作するうえで、多分にあったのではないか?と、想像する。

故郷の田舎や家族の系譜といった、ルーツへの回帰を説いたこの異色テレビドラマにおいて、最大のフックとなったのが、"クーナ" という、主人公の故郷の森に住む妖精の存在。
この、妖精という、おとぎ話な存在?が、過剰なドラマ性を排除し、極めて日常的な人間関係に特化したこのドラマの中に唐突に混入されたことの、違和感、異物感。
そこに、つい脱落してしまった視聴者も多かったのではないか、と思う。日本のテレビドラマに、ファンタジーのニーズはほぼ無いと言っていいし。

このクーナが最終的には、死、あるいは死者たちへの悼み、といった裏テーマに結び付けられた存在となってくる訳だけど、そこで否応なく想起させられたのが、「歩いても歩いても」において樹木希林が演じた老母を半狂乱に陥れた、白いちょうちょの存在。
ただ、あの白いちょうちょと、今回のクーナとでは、その存在に対するニュアンスは大きく異なっているように思う。

ある意味で劇的なドラマ性を積み重ねることで、視聴者に娯楽性を提供する、昨今の標準的なテレビドラマのスタイル。
別にそれが悪いという事では決して無くて、しかしこのドラマは、それとは全く対極的。
家族の中の、或いは友人・仕事仲間との、極めて日常的な会話をひたすら積み重ねながら、行間の余白を創出させて、視聴者のイマジネーションにその行間を委ねる事で、とても新鮮な、独自のテレビドラマのあり方を追求していたように思う。
これを芸達者な俳優達が絶妙に演じる事で、ワタシには何とも言えず癒しになっていたのであります。

是枝監督のために集結した俳優陣の豪華さは、言うに及ばず。
ピンポイント投入の加瀬亮や、TVドラマにはほとんど出演しない新井浩文、映画も含めて俳優出演自体が珍しいバカリズム(けど、流石でした)、他にも、主役級、脇役ともに、なんか盛大。特に、カントリーサイドの住民たちの、愉快な仲間達感?は、単純に楽しかった。

なかでも山口智子は、とてもナチュラルな演技で、彼女の演じたキャラに見事に命を吹き込んだなあ、と。
あとゼヒ特筆したいのが、主人公の母親役の吉行和子。夫に対する妻の長年の本音という毒を、キュートに吐き出す感じとか。本当に巧い。「歩いても歩いても」の樹木希林の鬼気迫る名演に匹敵するほどの、自然体でしなやかな妙演で、このドラマのベストアクターは彼女だった。

最終回の最後、主人公の父親のお葬式に出席後、自分の町に戻り、駅からタクシーで帰宅する宮崎あおい達。
彼女らの前には、お馴染みのタクシー運転手の阿部サダヲは登場しなかった。
これは、地域が違うからだと思うけど、それとも、カントリーサイドに所属する人間達の前には姿を現さない、ということか?
最後の最後にもう一つの余白を残し、この異端ドラマは静かに幕を閉じたのでした。

NHK大河 平清盛 (パート2) [テレビドラマ]

いよいよ第二の佳境に入りつつある、NHK大河ドラマ、平清盛。

この大河ドラマは、時折、視聴者を「?」とさせ、無用の当惑感に置き去りにしてしまう展開がしばしば存在し、
(この辺りは、下記コラムに非常に詳しくて、なるほど、て感じだった。
 http://www.ele-king.net/columns/regulars/kanedajunko/002393/
 「裏・清盛空間」とは、よく言ったもんだ。)
そんな時は呆気に取られつつ、
「う~ん、何なんだろうこれは?  さて。
 まあ、これはこれで観念的な表現という事でアリとしようか。中世だし。うん。とりあえずそうしとこう。」
などと無理やり自分を納得させ、次へ進むのだけれど、それはそれとして、ここに来て再び面白くなってきたなあ、と思う。

清盛が平氏の棟梁として、自分の理想の国造りを追い求めようとして、保元の乱・平治の乱という権力闘争を勝ち上がって行く過程が、第一の大きな佳境だったと思う。

今はそれが、清盛が権勢の頂点を極め、彼と彼の一族が武門から貴族へと変質し始めることで、終わりの始まりに徐々に移行しつつある感じ。
つまり諸行無常とか、驕れるもの久しからず、という平家物語のモチーフが、ここ2−3週の放映で、じんわりと確実に表面化してきた感が強いのである。
そして来週の放映は、ずばりタイトルが「平家にあらずんば人にあらず。」
いよいよである。(何がだよ)

京から福原に移り、宋との交易で国を富ませる事で、悪しき貴族政治を改革するという、自分の理想の国造りを本格化させた清盛。
そんな清盛の留守を預かり、京の陰険貴族達との政争の矢面に立つ事になるのが、清盛の長男、重盛(窪田正孝)である。
清濁併せ持つ清盛と、聡明だが清廉過ぎるがゆえに徐々に父の大きな影に悩まされていく重盛、この二人の父子関係が、当面のストーリー展開の大きな鍵として位置付けられる。それは正しい方向性だと思う。
重盛は、清盛の後継者にして、実際に清盛が実務面で一番頼りにしていた息子と言われている。その重盛の若すぎる病死は、清盛の有能な後継者の喪失を意味し(重盛の代わりに宗盛(石黒英雄)が家督を継ぐんだが)、平家没落の遠因の一つとなったみたい。

松山ケンイチは、スケールの大きな、いい役者になったと思う。
この人は、もともと、何かに「なりきる」かどうかのタイプの役者だと思ってて(エルとか)、今の清盛へのなりきり具合はほぼ満点。
明らかに見た目の年齢が実際の清盛(50歳代)と違う事を除けば。(松ケンに限らず、みんなそうだけど。)
権力の頂点に君臨する男の泰然自若ぶり、その裏側の冷徹さと底の知れなさが、画面に映る彼の所作や表情や発声から溢れているし、絶対的な権力によって清盛が徐々に変質していくのかな、という感も見え出している。
国のため民のため、が、自分の一族のため、にいつの間にか目的がすり替わっているし。手段の目的化、よく聞く話です。

だいいち、今までの大河ドラマは、秀吉しかり信長しかり、主人公が権力を握った後の変質(残酷さ、誇大妄想、妄執など)は全く描かない、というかそんな事は全力で無かった事にする、というのが大きな特徴だったのだが、今回の清盛はどうなるんだろうか。
ちょっと楽しみ。

あと、役への妙なはまりっぷりでは松ケンに全く負けてないのが、信西(阿部サダヲ)と義朝(玉木宏)亡き今、清盛の最大の政敵となった後白河法皇を演じる松田翔太。
なかなかの困ったちゃんである後白河を生き生きと演じてます。彼も今回は、なりきる事に徹してますな。出て来た時の、画面における支配感は松ケン清盛以上。
清盛と後白河の“サイコロ遊び”と称するライバル関係が、終盤に至るまで大きなドラマの対立軸となる。

頼朝(岡田将生)の蜂起も、後白河が全国に発した反平家の檄が契機となったわけで。
その頼朝も、今回の放映でついに、全身全霊をかけたクヨクヨっぷりから立ち直り始めて、ああついに歴史が回り始めたなあ、と。

当時の東アジア情勢を俯瞰する上で欠かせない存在である奥州藤原氏の藤原泰衡(まさかの京本政樹!この変化球キャストはナイス!)も、ついにストーリーに登場。

来週はついに牛若丸(神木隆之介。義経はこの人か染谷将太のどっちかではないかと予想していたというか、願望していたというか)が弁慶(青木崇高)と出会い、自分の運命と出会うようだし、それに、忘れてならない平時忠(森田剛)の暗躍っぷりも、随分とサマになって来た。

二階堂ふみが徳子にキャスティングされてるしね。
これでもう主要キャストが出揃った感じかな。あとあるとすれば源義仲くらいかな。

徐々に歴史の歯車が再び回り始めたようで、見逃せない感じです。
どうせなら、清盛の死で終わるんでなくて、清盛の死後は一足飛びでいいから、壇ノ浦で終わって欲しいところであります。


NHK大河 平清盛 [テレビドラマ]

視聴率が1ケタ間近、とかいう事で、世間では現時点で既に、大河史上最大の失敗作ではないか?という声も出ている今年のNHK大河ドラマ、平清盛。

個人的な感想を言えば、たまに「なんでそうなんの?」という展開が、無きにしも非ず。
西行(藤木直人)が出家するくだりとか、清盛の弟・家盛(大東駿介)が心の弱さから、落馬して死ぬところとか。(その前の男色シーンも、話の流れの中での必然性が感じられなかった。)

しかしながら、歴代ベスト3に入るクオリティを誇っている。と思う。
毎週の楽しみの一つになっている。

何が素晴らしいかと言えば、まず何よりキャスティング。
ネームバリューよりも、実力、それに、役のイメージとの整合性を第一に考えた、ほぼ妥協のない俳優陣が揃っている。

名前を挙げればキリがないのだけれど、例えば、政争の軸となる歴代の法皇/上皇に、伊東四朗、三上博史、井浦新、松田翔太。どの人も絶妙のハマり具合。
宮廷内での権力闘争プレイヤーとして、主流から傍流に落ちぶれる藤原摂関家の、國村隼、堀部圭亮、山本耕史と、そのカウンターとして配置される新興勢力の、佐藤二朗や阿部サダヲ。(今後は後白河の近臣である吉沢悠やドランクドラゴン塚地も)
そして、無垢な愚かさで夫の鳥羽を苦しめる待賢門院の壇れいと、彼女に対抗心を燃やし政治を動かしていく野心家の美福門院の松雪泰子の二人の対照的な悪女は、ドラマ前半のキーパーソンに他ならなかった。

源義朝役の玉木宏は中々の荒くれ東武者ぶりで、その父・為義役の小日向文世とともに、それぞれの役柄を生きている感が素晴らしいと思う。
義朝の正妻役の田中麗奈も良いですね。

平家方では、中井貴一、和久井映見、豊原功補、上川隆也なんかはかなり計算できる感じで、保元の乱前夜の豊原功補なんかはとても素晴らしかったのだけれど、面白いと思うのは、有名な「平家にあらずんば人にあらず」という言葉を吐いた平時忠に、森田剛を起用したこと。

一番の未知数で、ウィークポイントとなる可能性すらあった松ケンも、回を追うごとに魅力的な面構えになってきていて、顔つきも佇まいも大河ドラマの顔にすっかりふさわしくなった、と思うのだけれど。

こうして見ると、今回の大河のキャスティングは、ベテラン/中堅/若手のバランスが良いと思う。
その中で、キーパーソンがベテラン俳優から若手俳優に徐々に切り替わってきている。
また、吉沢悠やドランクドラゴン塚っちゃん、あるいは後の武蔵坊弁慶となる鬼若役の青木崇高など、楽しみな主要キャストがどんどん追加されてきているのも、大河っぽくって、今後も楽しみな点。
(さらに遠藤憲一と塚本高史が、源頼朝の側近役での出演が発表された。この、キャスティングへの、力の入れ具合!)

歴史上で悪役であり敗者である平清盛を、新しい時代を切り開いた英雄としてフレッシュに人物像をとらえ直した事が、非常に挑戦的な企みだと思うし、それにフレッシュな、若き実力演者の松ケンを大抜擢したのもまた、挑戦的。
その心意気をまずは肯定的に評価すべき。

肝心のドラマの内容も、クオリティはとても高く、一般的な視聴者層の受けよりも制作者サイドの創り上げたいものを優先した、妥協のないモノ作りをしていると思うし、馴染みは薄いけど、その分、実力者揃いの俳優陣の熱演でそれぞれ魅力的に形成されたキャラクターたち、彼らの野心や理想や嫉妬や誇りが織り成す群像劇は、抜群に面白い。

あと、「画面が汚い」とか「暗い」とかいう批判はあるけれど、当時はそういう時代だった訳だし(電気もアスファルトもない、当たり前だけど)、そうした批判は正直、想像力を欠いている。
その時代の空気をできるだけ再現しようとする心意気と照明/撮影技術を、どうして世間はもっと評価しようとしないのだろう。
現代とは比較にならないほど、地上は泥まみれ土まみれだし、夜の暗闇は深かったはず。
そんな泥臭さ、夜の深さを反映したかのような、乱世社会であり、権力闘争。
幕末とも戦国時代とも違う、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」の、光と闇、雅びで無常な趣きが漂っているのもまた、この大河ドラマの大きな魅力だ。

平忠盛(中井貴一)、藤原家成(佐藤二朗)、鳥羽法皇(三上博史)という、前半を牽引していた主要プレイヤーが相次いで姿を消して、今回の保元の乱で藤原頼長(山本耕史)、源為義(小日向文世)、崇徳上皇(井浦新)といった主要プレイヤーもまた、死刑あるいは流罪という形で、ドラマから退場する事になる。
今後は、信西(阿部サダヲ)、源義朝(玉木宏)、後鳥羽帝(上皇、法皇)(松田翔太)らが、清盛と共に、権力を巡る勝ち抜き戦を戦って行く。
終盤ではきっと、若き源頼朝(岡田将生)が、年老いた最高権力者・清盛のライバルとして浮上してきて(後ろで糸を引いているのが松田翔太、という構図)、あと弁慶(青木崇貴)や義経(誰がやるんだろう?)、それに義経の庇護者にして、平氏/源氏に対する第三極としての奥州藤原氏なんかも顔を出すのかも。

ああ、なんて乱世の諸行無常。
時代は大きく回転を続ける。これからもワクワクである。

所で何故、こんなに人気がないんだろう。
原因を思いつく限り並べてみた。

① 時代的に馴染みがない。登場人物がようわからん。
② 結局、清盛って悪者やん。源氏が(というか義経と弁慶が)歴史的に見て、正義やん。
③ 実際の歴史と違う。勝手に創作すんな!
④ 松ケンの演技がなんか苦手。役不足では?
⑤ 単に、おもんない。

で、その反論。

① まあ、この時代に興味が持てないのなら、仕方がない。
けど、貴族社会から武家社会にダイナミックに転換していく大きな歴史の転換点だし、歴史的に見てもゼッタイに面白い時代だと思う。

登場人物がよくわからない、というのは、誰と誰が大きな対立軸になっていて、他のキャラはそれぞれどちらのサイドについているのか(或いは中立なのか)?という捉え方をすれば一気に一目瞭然となる。

例えば保元の乱なら、
1)それまでの流れの崇徳上皇(井浦新) vs 鳥羽法皇(三上博史)+美福門院(松雪泰子)という対立軸が、
2)藤原頼長(山本耕史)+崇徳上皇(井浦新) vs 信西(阿部サダヲ)+後白河帝(松田翔太)という対立軸に引き継がれていて、その大きな軸の下に、
3)源為義(小日向文世)vs 源義朝(玉木宏)の親子対立と、
4)平清盛 vs 平忠正(豊原功補)の甥/叔父の対立関係が、
重なって来た訳だ。
乱の勝敗が決した今、敗者側は去るのみ、今度は勝者側の中で新たな対立軸が形成されていく事になる。
こういう話、大好きな人はきっと多いはず。

② まあ清盛は日本史的には悪役で敗者なんだけど、結局のところ、歴史は勝者によって語られるわけで。
海外との貿易で富を蓄積していく清盛の先見の明と、中央の貴族社会の中で勝ち上がっていくことで、武家社会への大きな時代転換を契機づけた彼の歴史的な役割は、一般にも広く知られるべき。

③ ②に同じ。歴史は勝者によって書かれたものなので、そもそも真実とは限らない。
あと、別に創作が混じってもいいじゃん。面白くなれば。ドラマです。
遠い過去の話だから、人物の心の動きに創作が入って当然だし、そこもまた制作者の個性、その物語の個性。

④ 今の松ケンは、主人公としてとても魅力的。
役柄の年齢に応じて落ち着きが出て来て(発声も変えてきた)、風格がついてきた。

⑤ そういうことなら、仕方がありません。色々勝手に長々と力説して、本当にすみません。


最後にひとつ。
局面局面で登場人物達が、唐突に和歌を吟じだすのには、どうも慣れない。


テレビドラマ 今クール (2012年1月) [テレビドラマ]

最初の1−2回を観た限りで、個人的に面白そうだと思ったのを・・・

<月曜日>
「ラッキーセブン」
瑛太の格闘アクションのキレと本気度がとにかく凄い。SPの時の岡田准一にひけを取らない。
初回での松潤と瑛太のファイトシーン、見応えあった。
ジャンルは探偵アクション、一話完結。
他にも大泉洋は絶妙、仲里依紗や松嶋菜々子と布陣は豪華、楽しみ。
劇中ドラマで谷原章介が主演しているのも豪華だ。

<火曜日>
「ストロベリーナイト」
正月でやってた単発2時間ドラマがとても面白かったので。
ジャンルは刑事推理もの、一話(或いは二話)完結。
竹内結子主演、過去の事件被害のトラウマを抱えながらエース級の活躍を見せる刑事、姫川を演じる。
彼女のチーム(「姫川班」)のメンバーに西島秀俊や小出恵介ら、元部下の生瀬勝久、上役の渡辺いっけいと高嶋政宏、ライバル刑事役の武田鉄矢(と遠藤憲一も?)、とキャストは実力派揃いで穴の無い布陣。
ドラマ全体の印象としては、とてもアクが強い。ひとえに鉄矢のおかげだ。
それと、姫川に一途な生瀬勝久のおとぼけ振りはさすが。

「ハングリー!」
正直、全くノーマークだったが、たまたま観たら「ソウル・キッチン」そのまんまやん!
単純に面白い、テレビドラマとして手堅い作り、展開も結構考えられてて面白い。
ジャンルはレストランモノ、各回ごとに来店者役でゲスト出演者を迎えるスタイル。
Sな役の向井理、ハマってる。悪役は稲垣吾郎。
ヒロイン役の瀧本美織がとてもキュート、このコは声が結構特徴的だな、と思った。ナレーションの仕事もイケそう。

<水曜日>
「ダーティ・ママ!」
永作博美主演、手段を選ばない子連れの刑事役を演じる。
彼女と組む新米刑事役に、香里奈。
脇に八嶋智人、安田顕、佐藤二朗、野間口徹、と渋いなあ。
もちろん、刑事推理もので、一話(又は二話)完結スタイル。
主人公のキャラがかなりアクが強いので、彼女の刑事としての(或いは女性としての)揺るぎない信念を、ストーリーの中で巧く見せる事が出来るかどうか。

<木曜日>
「聖なる怪物たち」
タイトルにワクワク。
岡田将生、中谷美紀を軸に、長谷川博己、小日向文世など。とにかく中谷美紀の出来にこのドラマは全てかかっている。
岡田君の先輩医師を演じる勝村政信が飄々としてていいっすね。
聖なる「怪物たち」、という事は、一人だけでないという事?

「デカ黒川鈴木」
板尾創路、田辺誠一、田中圭による、トリオ漫才。もとい一話完結の刑事推理もの。
脚本は大宮エリー。
推理よりギャグがメイン、けど面白いかどうかは観る人によるかも、という感じ。パターンによるギャグを割とオフビートに決めてくる。
板尾さんの奥さん(鬼嫁)役の鶴田真由、彼女が毎回爆弾をほうってくる。この前は腹話術をした。

「家族八景」
筒井康隆原作、堤幸彦演出の深夜30分枠。
これは、かなり面白かった。
主演の木南晴夏演じる家政婦は、人の心が読める。
家政婦として毎回異なる家庭に入り込み、上辺とは裏腹の家族の心の中を暴いていく。
彼女が心の声を聞く時は、その相手が彼女の目には全裸に映ったり、顔に花が咲いたりして見える(家庭によって違う)という奇抜な設定。
やっぱり堤幸彦はドラマだとキレてるなあ。(なぜ映画だとああも常に...?)

<金曜日>
「13歳のハローワーク」
一話完結スタイルの職業体験もの+タイムスリップもの。
松岡昌宏演じる出世街道から外れた刑事が、何者かの力で何故か22年前のバブル全盛期にタイムスリップ。さえない中学生である13歳の自分と出会い、人生を変えようと画策する中で、その世界で知り合った横山裕と一緒に色んな仕事に潜入する。
タイムスリップものにありがちなパラドックスのロジックは完全に無視。
だけど結構面白い。
主人公が男気を見せて色々と立ち回る事で、誰かの未来をちょっと前向きに変えていく。

<日曜日>
「平清盛」
キャスティングがとても豪華で、バランスも非常に良いと思う。
主要キャストは勿論のこと、伊東四朗、三上博史、壇れい、佐藤二朗、阿部サダヲ、といった脇が光ってる。どんな宮廷内部の権力闘争を見せてくれるのか。
松ケンについては、権力を握った晩年期の清盛を彼がどう演じるかが正念場では、と要らぬお世話。
それと、画面が汚くて見る気がしない〜? マジで呆れるね。 
乱世なんだ、汚くて当たり前だ。
とにかく、一昨年の「龍馬伝」クラスのハイクオリティは期待できる。

「運命の人」
そこそこ面白いのだけど、北大路欣也はこんな役ばっかだな。
いっそのこと、通産省官僚役で佐藤浩市や堺雅人も出せばいいんでは。
モックンの転落話に終始する人間ドラマで終わるんじゃなくて、今の沖縄問題、沖縄と本土の関係性をキッチリ視野に収めた社会性の高いドラマになれば。

「妄想捜査 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」
佐藤隆太が妄想推理のずっこけ探偵を演じる、一話完結スタイルの学園推理モノ。
実質な探偵役の桜庭ななみと、割と変態キャラのミステリー研究会部長役の倉科カナが、結構良い。
第一回の犯人役はでんでん、けど凶悪な人じゃなくて実直な人の役。だけど、キャンパス内で変なトーテムポールを彫るのが趣味。
それと爽やかコーチ役の鈴木一真、出番は少ないけど眩しいほどの良い仕事振り。
余りにも話がテキトー過ぎるのがどうかと思うが、ここまで徹底されるともう割り切るしかない。

「贖罪」
WOWOWで放映されている特別ドラマ。湊かなえ原作、黒沢清監督、計5回。
黒沢清が手掛けるドラマ、というだけで必見。
未解決の女児殺人事件。死んだ少女は犯人に連れ去られる直前まで4人の友達と遊んでいた。
被害者の母親(小泉今日子)と、その4人の少女の15年後の今を、それぞれの回で描く。
第一回は蒼井優と森山未來(苦虫女コンビだ)、第二回は小池栄子と水橋研二、第三回は安藤サクラと加瀬亮の話。
次の第四回では池脇千鶴、長谷川朝晴、伊藤歩。最終回でついに小泉今日子自身の話となる。
キャスティング自体からして鉄板。
ドラマの至る所で黒沢清節とも言うべき、悪夢のような不吉さと、不意のユーモラスさが炸裂している。
主人公の悪夢の中で犯人の男が被害者の少女を片手で地面に何度も打ち付けたり、主人公が唐突にグーで殴られて鼻血を出したり、など。

「贖罪」と「家族八景」は、まあ、別格。
あと清盛も。

それと、本格派からズッコケ派まで、刑事/探偵ものが大ブーム。(「相棒」は相変わらずこのテのドラマのモノサシとして健在だし。)
そんな中、ソウルキッチンな「ハングリー」が、気楽に見れて、なおかつ結構面白い。
あと、軽妙な「13歳のハローワーク」も。


これ全部を毎週チェックするのは、今から非常に心の重荷だ。
(どんだけヒマやねん。)


ボードウォーク・エンパイア [テレビドラマ]

海外ドラマはあえて観ない事にしている。
観たら最後、ハマってしまって自分の時間がますます無くなり、取り返しがつかなくなりそう。

しかしマーティン・スコセッシ製作、禁酒法時代のギャングもの、と聞けば、チェックせずにはいられないでしょう。
しかも主演がまさかのスティーブ・ブシェミ。

「ボードウォーク・エンパイア」
http://www.wowow.co.jp/drama/boardwalk/intro/

S. ブシェミが演じるのは、ニュージャージー州アトランティックシティの収入役にして、シティの闇経済を牛耳る影のボス、ナッキー・トンプソン。当時の実在の政治家である。
時代は禁酒法施行直後の1920年代、世界史的に言えば第一次世界大戦が終戦し、戦争の痛手が消えないヨーロッパと対照的にアメリカが空前の好景気を享受していた時代。

街の利権を握り、表の顔と裏の顔を巧みに使い分けて、彼は、大歓楽街を抱えるこの大西洋沿いの風光明媚なこの観光都市に、強大な自分の帝国を築き上げていた。

第一話の冒頭、彼の人物描写でドラマは始まった。
禁酒法成立の大きな原動力となった婦人同盟の集会において、堅気の政治家として禁酒法の道徳性を称えるスピーチをおこない、拍手喝采を浴びるナッキー。
その裏では、夜のキャバレーでの有力者とのパーティーの席上で、禁酒法による密造酒の高騰とその莫大な利益性を高らかに宣言しながら、酒を飲み、若い愛人を侍らし、享楽を謳歌する。

しかし、彼が目をかけていた部下のジミー(マイケル・ピット)が引き起こした、ある大きな事件を発端に、このダークで暴力とメランコリーに溢れた大河ドラマは大きく動き出す。

ナッキーとジミーを渦の中心に、彼らの周囲の近しい人間達と、NYのギャング、シカゴのギャング、国税庁の禁酒法取締捜査官らの思惑や生き様やを激しく交錯させながら、当時の時代背景を要所要所で絡ませつつ、物語は転がっていく。

とは言っても、しばらくの数回は、何かをしながら片手間にこのドラマを観ていた様な感じで、テレビの画面から溢れ出す様な極上の映像世界に魅せられながら、物語の筋を追っていただけだった。

それが最近とみに面白く感じる様になったのは、ナッキーの怒りを買って街を放逐され、シカゴのギャング(あの有名なアル・カポネ)の元で風来坊な日々を過ごすジミー(彼はおそらくナッキーの隠し子だ)の動きが、彼の知性と行動力、その裏にある戦争体験の傷、心の繊細さといったものが、俄然ドラマの前面に出て来たからだ。

それと同時に、悪人でありながらも時折、過去に捨て去った色々な何かを思い起こす様な、深い表情を漂わせるナッキーの二面性も、回を追うごとに魅力を増している。

他にも、

街の保安官という自分の立場を利用して兄ナッキーの裏ビジネスをサポートしながら、実はナッキーに複雑な思いを抱く、弟のイーライ

堅気の女性でやがてナッキーと惹かれ合っていく未亡人マーガレット(おそらく、ドラマの最終的なキーパーソンかな?)

犯罪を暴く為には常軌を逸した行動も厭わない禁酒法捜査官のネルソン(断トツで一番強烈な人)

異様に喧嘩っぱやいが、シカゴに逃げて来たジミーを匿い彼の相棒となる、若き日のアル・カポネ

慇懃で寡黙なポーカーフェイスの裏に強欲で冷酷な顔を覗かせるNYのギャング、ロススタイン

など、非常に興味深い登場人物達が物語を動かしていく。

当時の風俗や街の景色などを再現した映像もとても魅力的。

映像のトーンは、正統派のマフィア・ムービーそのもので、暴力的・退廃的で非常に格調高く、一種の宗教性すら帯びている。
血と暴力に染まったアメリカの歴史そのものへの宗教性である。

テレビドラマ 今クール [テレビドラマ]

勿論全部のドラマをチェックできる訳は無いが、見た中で結構良さそうなのは...

妖怪人間ベム
まさかのハイクオリティ。
そしてまさかの亀梨和也。これがドンピシャで、このキャスティングは天才的。
まあジャニーズ枠なんだけど。
杏、鈴木福君はイメージ通りでジャスト、しかし亀梨君がここまでハマるとはね。
光石研は言うまでもなく、北村一輝は上手いなあ。今後レギュラーで出てくれるんだろうか。
妖怪コスプレが微妙にかわいい。

11人もいる!
今回のクドカンは大家族もの。
キャストの肝はやはり光浦さんでしょう。田辺誠一と広末涼子は言うまでもなく。
しかしこども店長にここまで言わせていいんですか! まあ男の子だからいいか。
パターンを回毎に微妙にかつ大胆にどんどんズラしていくクドカン芸が今回も見れるかな。

深夜食堂2
泣ける。何と言いますか、絶妙なさじ加減。
1では田畑智子、風間トオルでドラマではあり得ないほど泣かされた。
田中圭の回も良かったな〜。

専業主婦探偵
これはまだ判断保留だけど、桐谷健太、古田新太、小日向文世辺りのキャストがいいんですよ。
ノリが割とクドカンっぽい脚本も個人的な好みだ。
小日向文世の役がちょっと底知れないのがひとまず関心の中心。

相棒
安定感。なんというかテレビドラマの良心すら感じる。
はやくも二週目で傑作出た!

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